現代書道研究所 定例研究会報告

「銀河」誌に掲載の定例研究会報告です。


  2006年2月研究会 「仏教の基礎知識④」
  2005年11月研究会 「筆の話」
  2005年10月研究会 「金泥で書写する」
  2005年9月研究会 「法華信仰と装飾経」
  2005年3月研究会 「詩文書を書く」
  2005年2月研究会 「仏教の基礎知識③~観世音菩薩普門品第二十五~」
  2004年11月研究会 「半切作品のまとめ方~俳句編~」
  2004年10月研究会 「書初めや銀河大会の手本作り」
  2004年7月研修旅行 「高野山研修旅行」
  2004年4月研究会 「中国書道史⑨・明~清代」
  2004年3月研究会 「詩文書を書く」
  2004年2月研究会 「仏教の基礎知識②」
  2004年1月新年会 「平成16年現代書道研究所新年会」
  2003年11月研究会 「中国書道史⑧・宋代」
  2003年4月研究会 「近代詩文書の墨色と筆法の研究」
  2003年2・3月研究会 「近代詩文書を書く」
  2002年10月研究会 「中国書道史⑥・隋」
  2002年9月研究会 「写経~般若心経を書く~」
  2002年5月研究会 「條幅手本の書き方・銀河大会編」
  2002年4月研究会 「中国書道史⑤・北魏~隷書から楷書へ~」
  2002年2・3月研究会 「近代詩文書を書く」
  2001年10月研究会 「中国書道史④・隷書その2~漢代から唐代へ~」
  2001年9月研究会 「作品制作について・師範試験対策編」
  2001年5月研究会 「中国書道史③・木簡から隷書」
  2001年4月研究会 「近代詩文書を書く・その2」
  2001年3月研究会 「大字かなを学ぶ」
  2001年2月研究会 「近代詩文書を書く」
  2000年10月研究会 「中国書道史②周~秦」
  2000年9月研究会 「作品制作について・師範試験対策編」
  2000年5月研究会 「中国書道史①殷・周代」 
  2000年4月研究会 「墨色の研究②」
  2000年3月研究会 「墨色の研究①」
  2000年2月研究会 「作品制作・随意課題の書き方」
  1999年11月研究会 「作品制作・新しい素材を求めて」
  1999年9月研究会 「作品制作について・漢字作品編」
  1999年5月研究会 「篆刻を学ぶ・入門編」
  1999年4月研究会 「臨書の学び方・かな編」

現代書道研究所 2006年2月定例研究会報告

  テーマ「仏教の基礎知識④」

 現代書道研究所二月定例研究会は、平成十八年二月二十六日(日)にオリンピック記念青少年センターで実施されました。今回は、真言宗大覚寺派の飯田智照先生を講師にお迎えして「仏教の基礎知識④~曼陀羅(まんだら)~」をテーマに午前十時から午後三時まで、ご講義いただきました。
 国立博物館や各地のお寺にある宝物館などで目にすることがある曼陀羅ですが、どういうものがあるか、種類、どういう見方をしたら良いか、実際に先生がお書きになられた曼陀羅を会場に飾っていただき、ご講義いただきますと佐伯方舟理事長から紹介があり、研究会がスタートしました。
 曼陀羅は、諸尊の悟りの世界を象徴するものとして一定の方式に基づいて、諸仏・菩薩および神々を網羅して描いた図のことで、自分の心の中の鏡であり、現代の車に例えると、精神世界のナビゲーションのようなものだそうです。
 午前の講義は、胎蔵曼荼羅と金剛界曼陀羅の両界曼陀羅について真言密教専修の道場である、教王護国寺に伝わる「両界曼陀羅」の美しいカラーの資料を用いお話しくださいました。
 曼陀羅の伝来は、九世紀半ば、弘法大師(空海)が恵果より密教の教えを伝授された際の偉業のひとつです。まず、空海の著書「十住心論(じゅうじゅうしんろん)」より、仏果をめざす空海の言葉を朗読してくださいました。
「胎蔵曼荼羅」とは、大日経に基づき、大日如来の慈悲からすべての仏・菩薩が現れ、衆生を救済することを象徴し、中台八葉院を中心として、十二大院から成っています。胎蔵とは母胎の意味で、その表象の蓮華は種を表し、図の蓮華の赤は血の色を表しています。
「金剛界曼陀羅」とは、金剛頂経に基づき、金剛界を描いた曼陀羅で、大日如来の悟りの智慧を象徴し、九つの領域に区分されるところから九会(くえ)曼陀羅ともいわれます。
午後の講義は、当麻曼陀羅という、浄土変相図の資料を用い、極楽浄土がどういうことをいっているのか、浄土思想の展開についてお話しくださいました。
浄土思想を説く教典は、無量寿経、阿弥陀経、観無量寿経の浄土三部経といわれるもので、この三部の経典の中心は、無量寿経で上下巻からなる長文で、説法の座に参集する諸聖衆のことから、四十八の大願が述べられています。阿弥陀経は、阿弥陀仏と極楽に対する讃嘆であり、念仏往生の必要性と一切諸仏の証明がされています。観無量寿経は、平安時代に「当麻曼陀羅」「智光曼陀羅」を生み出すもとになった経典です。
会場内に飾っていただいた飯田先生の直筆の曼陀羅は、この当麻曼陀羅を模写されたもので、荘厳な美しさと緻密さがあり、それを拝しながらのご講義は、ありがたく幸せな時を過ごすことができました。
以上、飯田先生には、お忙しい中私たちのためにお越しいただき、熱心にご指導いただきました。ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2005年11月定例研究会報告

  テーマ「筆の話」

 現代書道研究所十一月定例研究会は、平成十七年十一月十三日(日)にオリンピック記念青少年センターで「筆の話」をテーマに実施されました。当日は、午前に「現代書道研究所理事会」が実施された関係で、午後だけの研究会開催となりました。
 今回の講師は、株式会社「一休園」の久保田哲暁社長をお迎えしました。最初に久保田社長から「筆の話いろいろ」と題して講義をしていただきました。
 筆の原料、筆の種類、筆の選び方、筆の価格の決まり方、筆の手入れの仕方と一時間で多くの専門知識をお話いただけました。
 その後、一休園さんが用意していただいた材料で、筆づくりの実習を参加者で行い、各自で穂先を作り、その場で一休園の職人さんに一本一本仕上げてもらいました。
 今回は半日の研究会でしたが、筆の専門家から貴重な講義と普段体験できない筆づくりも体験出来、充実した研究会となりました。講義・体験指導をしてくださった久保田社長と一休園の皆さん、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2005年10月定例研究会報告

  テーマ「金泥で書写する」

 現代書道研究所十月定例研究会は、平成十七年十月三十日(日)にオリンピック記念青少年センターで「金泥で書写する」をテーマに実施されました。当日は、午前に「現代書道研究所師範試験」が実施された関係で、午後だけの研究会開催となりました。
 前回(九月研究会)の実習で作った金泥を使用して、「無量義経十功徳品第三」の書写実習を行いました。
 実習指導は、佐伯司朗先生と佐伯方舟先生で、初心者グループと中級者グループに別れてご指導いただきました。司朗先生の初心者グループでは、金泥の作り方をひとりひとり丁寧に指導され、書写に臨みました。方舟先生の中級者グループは、写経用紙の変遷と選び方、書写上の注意点、名前の入れ方などのお話の後、各自書写したものの磨き方を特にご指導いただきました。
 半日の研究会でしたが、少人数のグループ学習でひとりひとりに先生から丁寧なご指導をいただき、充実した研究会となりました。実習指導をしてくださった佐伯司朗先生と佐伯方舟先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2005年9月定例研究会報告

  テーマ「法華信仰と装飾経」

 現代書道研究所九月定例研究会は、平成十七年九月十八日(日)にオリンピック記念青少年センターで実施されました。今回は、東京国立博物館の島谷弘幸先生を講師にお迎えして「法華信仰と装飾経」をテーマに午前十時から十二時まで、ご講義いただきました。午後は、二月の研究会で好評だった「金泥」の扱い方について、翠祥堂で写経装飾のお仕事をしている川西明子さんに再度お越しいただき、実習を交えての指導をしていただきました。
 島谷先生は、古筆学研究の第一人者・小松茂美先生のお弟子さんで、現在は東京国立博物館文化財部展示課長の職にあり、国宝や重文の古筆に囲まれお仕事をされているそうです。二玄社の日本名筆選の解説や大学で古筆・写経の講義などをされています。
 今回の講義は、仏教の伝来と宗教としてだけでなく学問として定着していく時代背景、飛鳥時代の写経に関する記録から一切経、現存最古の日本の写経・金剛場陀羅尼経(六八六年)のお話から入りました。
 奈良時代には鎮護国家の思想から国家事業の一貫として写経所が設置され写経が行われました。先生は、写経所の様子や写経所職員の報酬、また科料(罰金)など、興味深い話も交え、天皇家を中心としたこの時代の発願一切経や装飾経について、お話しされました。奈良時代の装飾経の代表として、聖武天皇の命により安置された、国分寺経「紫紙金字金光明最勝王経」と国分尼寺経「紫紙金字法華経」などがあります。
 平安時代は宮廷・貴族文化を反映しての写経となり、法華信仰に基づく多くの法華経が書写され残されています。法華経は、平安初期に中国で学んだ最澄が帰国し開いた日本天台宗の根本経典でもありました。また、釈迦の没後、正法・像法の世を経て仏教が衰え、国が乱れる末法に入るという仏教の歴史観から、貴族勢力の衰退や災害などの社会不安を背景として流行し、永承七年〈一〇五二〉が末法第一年と考えられた「末法思想」を背景として、経文の中の七宝や極楽浄土を経典の中に再現し、自分も極楽浄土へ連れて行ってほしいとの願いを込めて写経したと思われる、この時代の貴族による装飾経が多く残されています。中でも平家一族で作成された「平家納経」は有名で、その装飾も美しいものです。
 鎌倉時代にはいると装飾経の逸品は少なくなり、それは念仏を主体とした新興宗教の勃興と関係があるということでした。
 講義の後半では、時代ごとに整理されたスライドを使って古写経の名品を解説してくださいました。写経に対する認識は、時代とともに変わっていて、書写の歴史だけがあるのではなく、各時代の生活があってその中に書があり、それぞれの時代の写経があるので、平成時代の写経がどうあるべきかというのは、個人が考えていくべきだと先生は結ばれました。
 午後の「金泥の扱い方」では、前回の金泥の作り方の復習に続けて、金泥による書写のコツや磨き方なども教えていただき、当日参加した受講生にとって、貴重な時間となりました。
 以上、島谷先生と川西さんには、お忙しい中私たちのためにお越しいただき、熱心にご指導いただきました。ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2005年3月定例研究会報告

  テーマ「詩文書を書く」

 現代書道研究所三月定例研究会は、平成十七年三月十三日(日)に國學院大學院友会館で「詩文書を書く」をテーマに実施されました。当日は、午後に「現代書道研究所役員会」が実施された関係で、午前だけの研究会開催となりました。
現代書道研究所佐伯司朗所長の講義で研究会がスタート。日頃毎日展や日書展など大きな作品として書くことの多い詩文書ですが、今回は半紙や半切3/1などの小品制作に取り組みました。
漢字・かな・カタカナ・英文をで表現されるのが従来の漢字かな交じり文ですが、近年は詩の中に英文が含まれているものが増えているので、今回は主に、英文の入った現代詩を書くための学習方法が講義の中心となりました。
アルファベットの書き方の例として、三月号の銀河から掲載され始めた篆書講座「在昔篇」を参考に、一文字「昔」という文字を分解し、ここからA・M・W・N・O・Pなど数種類の文字を学ぶことが出来るという、興味深いお話に一同大きな驚きがありました。漢字系の詩文書にしたいのであれば、かなを直線的に、英文は篆書体の一部分を参考に作ってみる事、かな系の作品にしたいのであれば、かなに合わせて、漢字を行書体・英文は筆記体を使うなど、アレンジしてみるのも良いでしょう。最近は、ノートが横書きであるなど英文は横書きという概念がありますが、縦書きにすると、文字の大小をつけたり、間のとり方にバリエーションをつけたりできるという利点があるということです。
自分で涙が出る程感動した文章を、相手の方にも読んでわかってほしいという願いを持って作品制作をしていくのが、中島司有先生が提唱された現代書道研究所の信念ですから、特に英文を書くときの注意は、文節の間を大切にし、文章が読みやすいように、配慮が必要です。そして、この文章が作品として、どう書いたら適切か、縦か横か、紙のサイズはどうか、頭の中にイメージを映像化させて、取り組んでみる、それが出来ない場合は、まずは色々書いてみることです。
銀河誌に、参考作品として英文を含む歌謡曲の課題手本を佐伯司朗先生が揮毫されるようになって一年が過ぎました。今回はそれを全て、全紙サイズに大きくお書きになったものを教材として、一枚一枚丁寧に解説してくださいました。構成の違い、筆の違い、文字の大小、英文のバランスなど、とても参考になりました。
その後、実際に佐伯先生が模範揮毫をしてくださり、今日はじめて詩文書を書くという銀河会で育った学生さん三人が代表で指導をうけ、むずかしいといいながらも、目を輝かせながら取り組んでいる姿が印象的でした。その後、講義をもとに、実習に入り楽しそうに英文にチャレンジされる受講生の姿に熱意を感じました。
若い人たちに現代の詩を新しい感覚で書いていただきたい、初心者の方でも、現代詩にふれていただきたいという先生の願いや「英文を書くのは、おもしろいですよ。英文も漢字やかなの友だちと考え、好き嫌いなく挑戦してほしい」との佐伯先生のメッセージが心に残った、講義と実習でした。
以上、午前中だけという短い時間ではありましたが、佐伯先生の情熱あるご指導に受講者一同、感激し充実した研究会となりました。佐伯先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2005年2月定例研究会報告

  テーマ「仏教の基礎知識③~観世音菩薩普門品第二十五~」

 現代書道研究所二月定例研究会は、平成十七年二月二十日(日)に國學院大學院友会館で実施されました。今回は、真言宗大覚寺派の飯田智照先生を講師にお迎えして「仏教の基礎知識③~観世音菩薩普門品第二十五~」をテーマに午前十時から午後三時まで、ご講義いただきました。三時からは、写経でよく使われる「金泥」の扱い方について、翠祥堂で写経装飾のお仕事をしている川西明子さんにお越しいただき、実習を交えての講義をしていただきました。
 飯田先生のお話を要約して、ご紹介します。
★観世音菩薩普門品第二十五★
 「観世音菩薩普門品第二十五」、通称「観音経」は、無尽意菩薩がお釈迦さまに「観世音菩薩はなぜ観世音という名前をお持ちですか」とおたずねすることから始まり、そのわけを詳しく説いている章です。観世音とは、世間の音を観る=世のすべての動きを知り、すべての人の欲するところを見通す洞察力のこと。すなわち、お釈迦さまは、私たちがさまざまな苦悩を受けた時にこの菩薩の名を唱えればその声をよく聞き分けて苦悩から解脱させてくれるゆえに、観世音菩薩と名づけるのであるとお答えになっています。
★観音経の道筋★
 この観音経は、観世音菩薩を念じ、礼拝供養することによって、七難(火難・水難・風難・剣難・鬼難・獄難・賊難)や三毒(貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち))から救われ、二求両願が叶う大慈悲の徳と、また、三十三身・十九説法により、観世音菩薩が相手に応じて、この世のいたるところに、ありとあらゆる問題とあらゆる場面に自由自在に法を説かれる神通力を意味しています。
★観世音菩薩の妙智★
 観音経で説くところの観世音菩薩の妙智の全般は、真観・清浄観・広大智慧観・悲観・慈観の五観であり、最も重きを置く処である。また、観世音菩薩の説法は、四弁八音。経中にある五つの音字は、妙音・梵音・海潮音・世間音・勝世音と自由自在の説法を示しています。
 後半の「金泥の扱い方」では、金粉から金泥の作り方を実技も交えて丁寧に教えていただきました。金泥・銀泥の扱い方は、読んだり・聞いたりしただけでは、難しいものでしたが、専門家のお話を聞きながら、目で見てその場で実習をすることで、多くの事を学ぶことが出来ました。活字では表わせない、微妙なコツなども教えていただき、当日参加した受講生にとって、貴重な時間となりました。今回は、紙面の都合で詳しくお伝えできませんが、機会があればご報告したいと思います。
以上、飯田先生と川西さんには、お忙しい中私たちのためにお越しいただき、熱心にご指導いただきました。ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2004年11月定例研究会報告

  テーマ「半切作品のまとめ方~俳句編~」

 現代書道研究所十一月定例研究会は、平成十六年十一月十四日(日)に國學院大學院友会館で「半切作品のまとめ方」をテーマに実施されました。当日は、午後に「現代書道研究所理事会」が実施された関係で、午前だけの研究会開催となりました。
現代書道研究所佐伯司朗所長の講義で研究会がスタート。最初に半切用紙に俳句を一行で書いた作品作りについて、課題の選び方を漢字やかなのバランス、文字数などの検討をお話されました。
引き続き、現代俳句集のコピーが配られ、8文字から13文字までの文字の組み合わせ、文字数にあわせた字形の取り方などの講義があり、受講者の実習に入りました。
受講者は、配布された俳句集のコピーから何点か選び、半切用紙に一行のスタイルで作品を書いてみました。
実習後は、受講生の作品と同じ課題を佐伯先生も揮毫され、それを並べて黒板に掲示して、それぞれの作品のまとめ方のアドバイスや、受講者からの質問に答えていただきました。紙面の空間の使い方や落款の入れ方、印の押し方まで丁寧にお答えいただき、大変参考になりました。
以上、午前中だけという短い時間ではありましたが、佐伯先生の情熱あるご指導に受講者一同、感激し充実した研究会となりました。佐伯先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2004年10月定例研究会報告

  テーマ「書初めや銀河大会の手本作り」

 現代書道研究所十月定例研究会は、平成十六年十月二十三日(日)にオリンピック記念青少年センターで「書初めや銀河大会の手本作り」をテーマに実施されました。当日は、午前に「現代書道研究所師範・教育部師範試験」が実施された関係で、午後だけの研究会開催となりました。
 銀河大会の作品指導での「手本の選び方」「手本の作り方」「練習量」「指導する上での注意点」などを現代書道研究所佐伯司朗所長の進行で、当日参加された各本部長先生から日頃の取り組み方をお話いただきました。
 手本の選び方だけでも、小学生は「学校で習った文字を基本に子供に題材を選ばせる」「好きな言葉を書かせる」、中学・高校生は「銀河大会を見て来年の課題を決める」「作品集から選ぶ」などの発表があり、その後、手本の作り方・練習量・書かせる時の注意事項など、先生方のさまざまな取り組み方法について、1時間以上意見交換がされました。出席された本部長先生には、大変参考になりました。
 その後、「手本の書き方」についての実習が行われ、「やど」「ゆめ」「夏の雲」「希望の春」「喜怒哀楽」など、活字で配布された課題を、銀河大会の規定用紙に揮毫しました。それぞれの課題ごとに受講者の書き上げたものを並べ、佐伯先生によるポイント解説が行われて、研究会は終了しました。
以上、「書初めや銀河大会の手本作り」をテーマにした今回の研究会は、講義ではなく、参加された本部長先生の意見・情報交換が活発に行われ、佐伯司朗先生の解説による手本作成の実技もあり、佐伯先生だけでなく、当日参加の本部長先生方から、貴重なお話を聞くことが出来、とても充実した研究会となりました。先生方ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2004年4月定例研究会報告

  テーマ「中国書道史⑨・明~清代」

 現代書道研究所四月定例研究会は、平成十六年四月二十五日(日)にオリンピック記念青少年センターで「中国書道史・明~清代」をテーマに実施されました。当日は、午前に「現代書道研究所定期総会」が実施された関係で、午後だけの研究会開催となりました。
 現代書道研究所佐伯司朗所長の講義で研究会をスタート。十一月の研究会テーマに引き続き、宗から明・清の時代へ入りました。
 明・清時代の書になると、真跡本が巻子や掛け軸で残されています。
主役は、なんと言っても「蘇軾」「黄庭堅」「米?」の三人でしょう。この三人は、九世紀半ばから十世紀ごろに活躍した文人たちです。三人の生きた時代背景や経歴などを詳しく講義してくださいました。
この時代は、唐時代の楷書から、物流の発達と自由な思想の往来にあわせ、書も自由な筆法、文人の書が広まり、宗時代の行書が確立されていきました。
今回も視聴覚機器を使用して、蘇軾と米?の真蹟を拡大して、その字形・運筆を講義されました。絹本に書かれた米?の「擬古」については、絹本ならではの筆法について、大スクリーンに拡大したひとつひとつの文字を講義されました。
そして、肉眼で拡大しての臨書の心構え、紙のサイズ・筆の材質などについてもポイントを抑えての講義がされました。
その後、唐代の楷書とこの時代の行書の線質の違いを理解していただくために、現代書道研究所佐伯方舟理事長の進行で、受講者の代表による半紙への臨書席上指導が行われました。佐伯司朗所長の懇切丁寧な指導に、受講者代表が一枚一枚書きすすめ、一枚ごとに線質が変化していく様は、周りで見ている他の受講者には大変参考になりました。そして、古川司源副理事長と大澤司舜常任理事による、模範揮毫も加わり、受講者全員が食い入るように見ていました。
以上、「宋」をテーマにした研究会は、講義だけでなく、実技指導・席上揮毫もあり、充実した研究会となりました。講義・解説をしてくださった佐伯司朗先生、席上揮毫をされた古川司源先生・大澤司舜先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2004年3月定例研究会報告

  テーマ「詩文書を書く」

 現代書道研究所三月定例研究会は、平成十六年三月十四日(日)にオリンピック記念青少年センターで「詩文書を書く」をテーマに実施されました。当日は、午後に「現代書道研究所役員会」が実施された関係で、午前だけの研究会開催となりました。
現代書道研究所佐伯司朗所長の講義で研究会がスタート。毎日展の近代詩文書部の作品制作のこの時期、真剣な受講者で会場は埋まっていました。
漢字・かな・カタカナで表現されるのが従来の漢字かな交じり文ですが、近年は詩の中に英文が含まれているものが増えているので、今回は主に、英文の入った現代詩を書くための学習方法が講義の中心となりました。
アルファベットの書き方の例として、三月号の銀河から掲載され始めた篆書講座「在昔篇」を参考に、一文字「昔」という文字を分解し、ここからA・M・W・N・O・Pなど数種類の文字を学ぶことが出来るという、興味深いお話に一同大きな驚きがありました。漢字系の詩文書にしたいのであれば、かなを直線的に、英文は篆書体の一部分を参考に作ってみる事、かな系の作品にしたいのであれば、かなに合わせて、漢字を行書体・英文は筆記体を使うなど、アレンジしてみるのも良いでしょう。最近は、ノートが横書きであるなど英文は横書きという概念がありますが、縦書きにすると、文字の大小をつけたり、間のとり方にバリエーションをつけたりできるという利点があるということです。
自分で涙が出る程感動した文章を、相手の方にも読んでわかってほしいという願いを持って作品制作をしていくのが、中島司有先生が提唱された現代書道研究所の信念ですから、特に英文を書くときの注意は、文節の間を大切にし、文章が読みやすいように、配慮が必要です。そして、この文章が作品として、どう書いたら適切か、縦か横か、紙のサイズはどうか、頭の中にイメージを映像化させて、取り組んでみる、それが出来ない場合は、まずは色々書いてみることです。
銀河誌に、参考作品として英文を含む歌謡曲の課題手本を佐伯司朗先生が揮毫されるようになって一年が過ぎました。今回はそれを全て、全紙サイズに大きくお書きになったものを教材として、一枚一枚丁寧に解説してくださいました。構成の違い、筆の違い、文字の大小、英文のバランスなど、とても参考になりました。
その後、実際に佐伯先生が模範揮毫をしてくださり、今日はじめて詩文書を書くという銀河会で育った学生さん三人が代表で指導をうけ、むずかしいといいながらも、目を輝かせながら取り組んでいる姿が印象的でした。その後、講義をもとに、実習に入り楽しそうに英文にチャレンジされる受講生の姿に熱意を感じました。
若い人たちに現代の詩を新しい感覚で書いていただきたい、初心者の方でも、現代詩にふれていただきたいという先生の願いや「英文を書くのは、おもしろいですよ。英文も漢字やかなの友だちと考え、好き嫌いなく挑戦してほしい」との佐伯先生のメッセージが心に残った、講義と実習でした。
以上、午前中だけという短い時間ではありましたが、佐伯先生の情熱あるご指導に受講者一同、感激し充実した研究会となりました。佐伯先生、ありがとうございました。

 

2004年2月定例研究会より

  テーマ「仏教の基礎知識②」

 これは、写経を書くための「仏教の基礎知識」として、現代書道研究所定例研究会で真言宗大覚寺派の飯田智照先生を講師にお迎えして、お話いただいたものの要約です。
★釈迦の生涯★
 仏教の開祖「ゴータマ・ブッタ」は、日本では「お釈迦さま」「釈迦」と呼ばれています。古代インドのシャカ族の王子として生まれた「釈迦」は、ルンビニー園で紀元前六百年ごろ誕生されたと言われています。王族の子として育てられた「釈迦」は、宮殿内外の生活を見比べ、「生老病死」の苦悩を痛感しました。これが後の「四門出遊」として伝説化されたのです。その後「釈迦」は、結婚をし、子も儲けましたが、二十九歳の時に真理を求めて出家します。
 釈迦の出家後の道のり、「苦行だけではないと気付き、降魔成道」の中から悟られた様々な教えは、現在の私たちの生活にあてはまることが多いのです。
「初転法輪」(釈迦が、五人の苦行者に初めて行った説法)には、四諦法門(苦諦・集諦・滅諦・道諦)というものがあり、その後「諸行無常」の教えをはじめ伝法の道を歩まれ、釈迦の教えは、入滅を前に「自燈明・法燈明」を説かれ、涅槃に至ります。
★観音経講話★
 法華経は、この世に咲いた大輪の花と称されます。これは、お釈迦様が晩年に説かれたものだからです。
その中でも、「妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五」、通称「観音経」は、羅什三蔵の訳による「普門品漢訳」の文字は、二千六十二言からなっていて、世尊出世の本懐にして仏心の大慈悲の発せられたものです。
この観音経は、無盡意菩薩の疑問を釈迦如来が一々明らかに答えられたもので、序分・正宗分・流通分からなっています。
 序分は、説法の時機の到来を語り、正宗文と呼ばれ、本文へと誘っています。
 正宗分は、「三十三身・十九説法」を中心として、観音菩薩の普門と普く救済をあたえられる、徳が説かれています。
 流通分は、経典の最後に、この話を聞くのは、今だけでなく、宿世(前世)から選んだ道なのだと説いています。
★写経をすることは★
 仏教は、お釈迦様が説かれる教えですが、現世の私たちが仏になる道をしめしています。つまり、経典を書く(写経)のは、仏教の教えを勉強する修行のひとつです。その修行の中でも、経典を書くことは、全ての人が行うのでなく、宿世から選ばれたことなのです。そして、お釈迦様の領域に自分の足を運び入れるプロセスなのです。
(平成十六年二月二十二日オリンピックセンターにて)

 

 

平成16年 現代書道研究所新年会

 平成十六年一月十八日、昨夜からの小雪も止み、晴天の日曜日となった明治記念館で、現代書道研究所新年会が盛大に行われました。昨年は、中島司有先生の喪中で、新年会が中止され、一昨年は、司有先生の叙勲祝賀会があり、明治記念館での新年会は三年ぶりだったためか、今年の新年会の出席者は予定を大幅に上回り、予定していた部屋では入りきれずに、明治記念館の好意で大きなお部屋「曙の間」での開催となりました。
 佐伯司朗所長の新体制となっての初めての新年会は、正面の大きなスクリーンに中島司有先生のにこやかなお写真が映し出される中、大澤司舜常任理事の司会で午前十一時半から進められ、石野司サン副理事長の開会の言葉で開会しました。続いて、司有先生のお写真に古川司邦常任理事が献花をして、佐伯司朗所長のご挨拶、そして、佐伯方舟理事長の新年の決意表明がされました。その後、新年会に先立って行われた「師範証・教育部師範証授与式」の報告と受証者の紹介がされました。その際、新年会のなかった十三年度・十四年度の受証者もさかのぼって紹介され、さらに、受証者を育てられた本部長先生に、中島裕豊先生から、花束のプレゼントがあり、感動いたしました。
 
次に「第五八回日書展」の結果報告と教育部審査員で準大賞を受賞された梅澤司翔先生をはじめ、公募部門の入賞者・入選者の紹介も行われ、佐伯所長から賞状が授与されました。そして、小浜司廉名誉顧問の乾杯で新年祝宴に入りました。
 
宴も半ばになると、余興の時間になり、現代書道研究所事務局小野寺演芸部長の進行で楽しい時間が始まりました。恒例となったテーブル対抗の銀河クイズ、そして、司会者の指名でステージ上がった四名による演技力ゲームでは、普通のコーヒーと塩入コーヒーが出され、誰が塩入コーヒーを飲んだのかテーブル対抗で考えました。ゲーム・クイズが盛り上がり、今度は「新年祝賀・お年玉ゲーム」が大盛り上がりで行われ、決勝に残った、佐伯所長と渡邉司寳常任理事の二人が「現書研恒例・お嫁さんゲーム」でお色直し後、決勝戦が行われました。はたして、勝者は・・・???。
 
楽しい余興の後は、参加者全員で大きな輪になって、何時もの通り「星影のワルツ」を大合唱し、古川司源副理事長の閉会の言葉・万歳三唱を行い、楽しい時間もあっという間、参加者の笑顔に包まれ、午後二時半に閉会となりました。

 

 

現代書道研究所 2003年11月定例研究会報告

  テーマ「中国書道史⑧・宋代」

 現代書道研究所十一月定例研究会は、平成十五年十一月九日(日)にオリンピック記念青少年センターで「中国書道史・宋代」をテーマに実施されました。当日は、午後に「現代書道研究所理事会」が実施された関係で、午前だけの研究会開催となりました。
 現代書道研究所佐伯司朗所長の講義で研究会をスタート。五月の研究会テーマに引き続き、唐から宗の時代へ入りました。
 宗時代の書になると、真跡本が多く残されています。主役は、なんと言っても「蘇軾」「黄庭堅」「米?」の三人でしょう。この三人は、九世紀半ばから十世紀ごろに活躍した文人たちです。三人の生きた時代背景や経歴などを詳しく講義してくださいました。
 この時代は、唐時代の楷書から、物流の発達と自由な思想の往来にあわせ、書も自由な筆法、文人の書が広まり、宗時代の行書が確立されていきました。
 今回も視聴覚機器を使用して、蘇軾と米?の真蹟を拡大して、その字形・運筆を講義されました。絹本に書かれた米?の「擬古」については、絹本ならではの筆法について、大スクリーンに拡大したひとつひとつの文字を講義されました。
 そして、肉眼で拡大しての臨書の心構え、紙のサイズ・筆の材質などについてもポイントを抑えての講義がされました。
 その後、唐代の楷書とこの時代の行書の線質の違いを理解していただくために、現代書道研究所佐伯方舟理事長の進行で、受講者の代表による半紙への臨書席上指導が行われました。佐伯司朗所長の懇切丁寧な指導に、受講者代表が一枚一枚書きすすめ、一枚ごとに線質が変化していく様は、周りで見ている他の受講者には大変参考になりました。そして、古川司源副理事長と大澤司舜常任理事による、模範揮毫も加わり、受講者全員が食い入るように見ていました。
 以上、「宋」をテーマにした研究会は、講義だけでなく、実技指導・席上揮毫もあり、充実した研究会となりました。

 

 

現代書道研究所 2003年4月定例研究会報告

  テーマ「近代詩文書の墨色と筆法の研究」

 現代書道研究所四月定例研究会は、國學院大學院友会館の地下ホールで、平成十五年四月二十日(日)に実施されました。 午前中は、平成十四年度師範・教育部師範合格者の師範証授与式・常任理事会・定期総会が行われました。
 
平成十四年度師範・教育部師範合格者は、次の十一名の方々でした。
[師範]小林遼歌・久保司章・秦野韶游
[教育部師範]荒川操・久家佳奈子・齋藤浩恵・篠田舜麗・角光江・寺内礼子・矢澤邦光・山田孝穂
 当日の授与式では、常任理事の先生方が見守る中、中島裕豊先生から、出席者ひとりひとりに師範証が手渡されました。
 
続いて、常任理事会・定期総会が同会場で開催され、平成十五年度現代書道研究所の事業内容等が話し合われました。詳しい内容は、五月号の銀河にて報告されている通りです。特に今年度は、役員改選年度にあたり、昨年の七月十五日に中島司有先生がお亡くなりになり、欠員になっていた所長には、佐伯司朗先生が、理事長には、佐伯方舟先生がそれぞれ就任され、新体制のスタートとなりました。
 
また、中島司有先生の一周忌を前に、六月十三日から十八日まで、上野の森美術館において、「中島司有書作展」を開催することも決定し、平成十五年度は、現代書道書道研究所にとって、佐伯司朗所長を中心とした、新たな幕開けとなるでしょう。
 
そして、午後は、四月定例研究会が、「近代詩文書の墨色と筆法の研究」について実施されました。
 
はじめは、新所長・佐伯司朗先生の講義からはじまりました。佐伯先生の講義は、毎日書道展近代詩文書部に参加の各会派の作品傾向と近代詩文書を書く場合に取り入れるべき、古典の筆法などについて、配布された資料などを使ってお話くださいました。
 
続いて、墨色の研究として、特に「淡墨」の作り方とその書き方を、実技を交えながら講義をされました。先生は、淡墨を作る場合の水の硬度の違いに注目され、市販のミネラルウォーターを数種類使って、その違いを試されました。同じ墨を同じ割合で割った場合、水の硬度の違いにより、滲みの美しさに違いが出ることを実際に半紙に文字を書いて説明されました。(今回の実験では、硬度の低い水で割ったものが美しく滲みがでました。)
 
そして、筆の材質の違いや、羊毛の開かせ方などについて、実技を交えて研究がされました。他の団体でよく使われている、パレット状の硯なども登場し、佐伯先生の指導のもと、参加者の代表による、席上講習が実施されて、四月の研究会は、終了しました。
 
今回の研究会は、新所長の初仕事として、佐伯司朗先生も何時にも増して、熱の入った講習となりました。

 

 

現代書道研究所 2003年2月・3月定例研究会報告

  テーマ「近代詩文書を書く」

 現代書道研究所二月定例研究会は、平成十五年二月二十三日(日)。三月定例研究会は、三月十六日(日)の午後と、二回の研究会を連続テーマ「近代詩文書を書く」として実施されました。
 二月の研究会は、「近代詩文書」を初めて書く方への指導を中心に、國學院大學院友会館の地下ホールに一杯の参加者で実施されました。平成十五年・第五十五回毎日書道展近代詩文書部当番審査員をされる、佐伯司朗先生を講師に、初心者のための近代詩文書講義からはじまりました。
 
「近代詩文書を初めて書く人へ」と題されたプリントをもとに初心者への幾つかの注意事項が話されました。プリントの内容だけを紹介すると次の通りです。

「近代詩文書を初めて書く人へ」
① 
どう書いても良いのだが、どう書いても良くない。
② 
まず鍛錬ということが大事である。
③ 
どんなものにも基礎トレーニングが必要。
④ 
筆の場合も同様である。
⑤ 
例えば、思いつきだけで作品を作ろうとすると、必ず類型化して行きづまってしまう。
⑥ 
大事なのは、たくさんの文字の貯金を持つこと。
⑦ 
どうすれば良いか、古典の中にそれはある。
⑧ 
一人の人が書いたものではなく、十人・百人と、それも一流の人が書いたものを学ぶことも大事。
⑨ 
自分にない構成や線を身につける。
⑩ 
感激をもって書く。
⑪ 
何を書いても良いのではなく、文字によって伝えたいものを書く。
⑫ 
皆さんはメールによって気持ちを伝える。気持ちが即伝わるが、誰が打っても同じ。書いた文字は違う、作品は自分を表す。
⑬ 
日頃から新聞や本などで感動した文章や詩をメモしておいたりして、書きたい題材を集めておく。その場合、作者名(詩・歌・句など)・題名も必ずメモしておく。メモの場合、誤字・脱字のおそれがあるので、原文をコピーしておく。
⑭ 
文章の中のどれを伝えるか、これも大事である。
⑮ 
初心者の場合、表現力がともなわないので、作品にならないこともある。
⑯ 
一つのものに固執することなく、二つ三つを同時に手掛けてみる。

 次は、実際に筆を持っての幾つかのトレーニングが紹介され、参加者で取り組みました。
まず、筆の穂先を使って、自由に線を引くこと。半紙に、右回りの螺旋を書く。続いて、縦長の螺旋・横長の螺旋。そして、シーソーの様に線を左右に振りながら、上から下へ書き進む。上下に振りながら、横に進む。これらの線のトレーニングをしました。
 
次に、この筆の動きを応用して、アルファベットの練習から、かなの筆法へと内容が進められました。こうして、午前中は、主に筆法(筆の扱い)を中心に講義・実習が行われました。
 
午後は、字体の違いと筆法の違いを、佐伯先生の書かれた半紙作品の一部を空欄にされたプリントが配られ、それに各自が筆で文字を書き入れる実習を行いました。(配布された課題は、写真参照。読者の皆さんも挑戦してみてください。模範解答は、こちら。)
 その後は、幾つかの参考手本が配られ、各自半紙作品の制作をして、佐伯先生の講評をいただき、二月の研究会を終了しました。

   

[課題1] 空欄にひらがなを書き入れる。左が楷書風。右が行書風。課題文は、「髪なびかせ東風真向青年」です。アンダーラインの部分を書き入れる。

[課題2] 空欄に漢字を書き入れる。左が楷書風。右が行書風。課題文は、「みほとけによりひらく」です。アンダーラインの部分を書き入れる。

[課題3] 空欄にカタカナを書き入れる。左が行書風。右が楷書風。課題文は、「偉人の肖像花風景画動物のスケッチクリスマスの聖画」です。アンダーラインの部分を書き入れる。

[課題4] 空欄に和文を書き入れる。上が強めの楷書風。中が行書風。下が動きのある楷書風。課題文は、「Whenever I Want振り向けばYour Eyes」です。アンダーラインの部分を書き入れる。

[課題5] 空欄に英文を書き入れる。左が楷書風。右が行書風。課題文は、「貫くチャンスをあげてMy Dream」です。アンダーラインの部分を書き入れる。

   

 翌月、三月の研究会は、会場をオリンピックセンターに移し、午前中の役員会の後、午後一時から近代詩文書の字形と構成についての学習が行われました。
 
プロジェクターを使って、近代詩文書作品における字形や文字の構成について、佐伯司朗理事長の模範作品の篇や旁を分解したり、文字の線の方向、払いのパターンを組み替えたりして、字形や構成の解説をされました。そして、様々な字形の払いが消されたプリントと濁点の消されたかなのプリントが配布され、各自がそれに、書き加える実習が行われました。(課題を掲載しますので、拡大コピーをして、読者の皆さんも筆で書き入れてみましょう。模範解答は、こちら)

[課題6]それぞれの文字の右払いを書き入れる。左が「枝」。中が「数」。右が「春」。

[課題7]それぞれの文字に濁点を書き入れる。

   

続けて、参考作品のプリントが配布され、その構成を各自が考えての作品制作にとりかかりました。
 
最後に、墨色と用筆の違いについて、何種類もの半紙サイズの文字見本がならべられ、佐伯理事長の解説がありました。その後、羊毛の使い方について、模範揮毫が行われ、参加者の代表による、席上講習も実施されて、三月の研究会は、終了しました。
 
以上、二・三月定例研究会は、「近代詩文書を書く」をテーマに、講義・実習が行われました。特に、今回の実習では、事務局で様々なパターンのプリントが用意され、初心者の方もすぐに取り組める実り多い研究会となりました。
 
指導にあたっていただいた佐伯司朗先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2002年10月定例研究会報告

  テーマ「中国書道史⑥・隋」

 現代書道研究所十月定例研究会は、平成十四年十月二十日(日)にオリンピック記念青少年センターで「中国書道史・隋」をテーマに実施されました。当日は、午前中に「現代書道研究所師範・教育師範試験」が実施された関係で、午後だけの研究会開催となりました。
 現代書道研究所佐伯司朗理事長の講義で研究会をスタート。五月の研究会テーマに引き続き、北魏から隋の時代へ入りました。
 
隋時代の楷書の主役は、なんと言っても墓誌銘と言われます。墓誌とは、墓主の生前の経歴や功績、一族の関係などをまとめたもの。それに墓主を称えた銘文をつけて墓誌銘とし、石板の上に刻み、屍体といっしょに墓室内に収めた。死後の世界に対する証明書といった意味ももつ。一般に石板は正方形をなし、それに誌文を保護する覆い墓誌蓋がついている。
 
中島司有先生の著作「書の世界」をテキストに、「美人董氏墓誌銘」と「蘇慈墓誌銘」を中心に墓誌銘の成立過程や内容について、詳しく講義してくださいました。
 
今回も視聴覚機器を使用して、陝西省博物館、西安石刻芸術室などにある墓誌銘を中心に編集された学習ビデオを佐伯司朗先生の解説により、視聴しました。特に、虞世南や欧陽詢の字に似た試し彫りの跡が残っている映像には、興味深いものがありました。
 
その後、現代書道研究所佐伯方舟事務局長より、墓誌銘が多く残った時代背景に関する講義がなされました。
 
地理的に洛陽の都の北に位置する?山が、風水観にかない、北魏ののち、隋から唐代にかけて、墳墓の地となり、埋葬に墓誌もつける習慣が広まったことから、多くの墓誌銘が残された。永い間、地中に埋蔵されていたので、風雨に侵されず、その上、銘文の刻まれた誌石の上に、題名を刻した蓋石を重ねて、墓石室中の棺の上に置かれていた為、保存がよく文字が鮮明なものが多い。
 
隋は南北を統一した国家であり、書の歴史でも北朝の書と南朝の書が同化した一つの到達点として一致しており、この短い時代は、次に来るべき初唐への橋渡しとしても重要。忘れてならないのは、この時代に欧陽詢や虞世南はすでに壮年を迎えていることで、このことから、墓誌銘は、唐の三大家たちの若き日の手になったものもあるのではないかと推察され、その成果が後の有名な碑を作っていく糧になったのではないかと興味をもたれているそうです。
 
以上、「隋」をテーマにした研究会は、講義だけでなく、映像による学習もあり、充実した研究会となりました。講義・解説をしてくださった佐伯司朗先生・方舟先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2002年9月定例研究会報告

  テーマ「写経~般若心経を書く~」

 現代書道研究所九月定例研究会は、平成十四年九月二十二日(日)に國學院大學院友会館で「写経・般若心経を書く」をテーマに実施されました。
 講師に真言宗大覚寺派の飯田智照先生をお迎えして、七月にお亡くなりになられた中島司有先生を偲び、お彼岸のこの日、追善供養の気持ちがこめられた、写経の会となりました。
 
午前中は、写経の心構えや般若心経の内容について、飯田先生の法話がありました。まず、「写経観念文」の資料をもとに、写経に入る前の姿勢、心構えについてお話されました。そして、写経の文字の一字一字は、仏のありのままの姿であることや、お経が世の中の全ての物事・生命を表していることなど、写経の意義について、詳しくお話されました。
 
二百六十二文字から成る般若心経は、大般若経六百巻・二百六十二科の要旨を集めたものです。つまり、一科から一文字とも考えられるそうです。般若心経の主な内容は、無常観を説いているのだそうです。この二百六十二文字の短い経文を書写することは、少しの時間で心を集中させて、祈りや願いを高めるためでもあるなどをお話され、飯田先生の法話で午前中は、終了しました。
午後は、般若心経を参加者で書写してみることになりました。現代書道研究所佐伯司朗理事長から、願文と書者名の入れ方の解説があり、今回は、司有先生のご冥福をお祈りし、先生のお戒名を入れた
 
「為 壌醇院釋治德居士菩提也
      
平成十四年秋彼岸 ○○○○敬寫」
の手本が配られました。

 

 司有先生を偲び、会場内は静寂に包まれ、真剣な眼差しで机に向い、一文字一文字、感謝の心を込めて写経がなされていました。2時間あまりの書写時間が過ぎ、お彼岸の一日、中島司有先生を偲ぶ写経会が幕を閉じました。
 
飯田智照先生には、仏教的見地から、写経の法話をしていただき、多くの事を学ばせていただきました、深く感謝申し上げます。

合掌

 

 

現代書道研究所 2002年5月定例研究会報告

  テーマ「條幅手本の書き方・銀河大会編」

 平成十四年五月二十六日(日)の五月定例研究会午後の部は、「條幅手本の書き方・銀河大会編」をテーマに実施されました。
 今回の研究会は、毎年八月に明治神宮参集殿で開催される、銀河大会の児童・生徒用手本の書き方について、そのポイントと本部長先生方々のご指導のヒントになるよう、テーマが設定されました。
 最初に、現代書道研究所佐伯司朗理事長から、條幅作品の手本を書く場合の全般的なポイントと臨書作品の捉え方、用紙・用具についての講義がありました。
 講義の内容を要約すると、
①「手本と作品は違う」
 
作品として完成度が高くても、必ずしも手本としては使えない。手本は初心者にも書けるように、先生の個性を強調しないで書くこと。手本を書く場合は、その手本を使って書かれた場合を想像して、細心の注意が必要である。
②「手本を書く場合のポイント」
 
字形を正しく書く、活字体を書かない、旧漢字と新漢字を混同しない、きちんと割付をしてから書く、漢字の約束事を守るなど。
③「臨書を書かせる場合の注意」
 
必ず原典にあたること。人の作品などを参考にすると間違っていることがある。
④「用紙や用具について」
 
古典の臨書を書く場合には、その古典にあった用紙を使うこと。特に、かなの料紙などには、時代背景・内容に合わせること。料紙の縦・横にも注意すること。
 
小学生の作品などを書くときに紙は折ってもよいが、仕上がりに注意する。補助線入りの條幅用下敷きなど市販されているので、上手に活用する。
 
続いて、現代書道研究所佐伯方舟事務局長から、小・中・高校生別の作品課題に関する諸注意についてお話がありました。
 
小学生については、それぞれの学年にふさわしい課題と漢字を使用すること。辞書や文部科学省指導要領などを参考にし、常用漢字の字形をよく見て、旧漢字や書写体などは使わない。小学生用の筆順字典などを見て、正しい筆順を指導すること。基本的に小学生には、古典の臨書課題は使わない。
 
中学生では、古典の臨書課題を書かせる場合に、一字一字をしっかり理解させてから書かせること。何の文字だかよく判らないままに、形だけ真似てしまうことのないように。碑の欠けや印刷での異物で文字が見えなかったり、それを文字の一部と勘違いして書いてしまうケースもあるので注意する。
 
高校生の場合は、幾つかの重要な注意事項については、次のとおり。
他人の作品集などを勝手に手本にしない。
 
手本として出されている出版物からの使用は良いが、作品集から勝手に使用することは、著作権の意味合いからも望ましくない。(これは、日本書展に作品を書かれる場合も同様である)
漢字かな混じり文を書く時の注意。
 
これからは、高校の書道の授業でも漢字かな混じり文の指導時間が大幅に増えて、高校生でも「近代詩文書」や「調和体書」などを書く機会が増えるので、これらを取り入れていくことも考えたい。その場合、原文を尊重すること、文章の途中を抜いて前後を繋ぎ合わせないこと、原文の作者名を必ず作品中に入れること。
古典の場合でも、題名・筆者名・本文・跋文と分かれている場合は、一緒に書かないで、本文で改行すること。
写経の場合、落款に必ず本名を書き、敬寫・拝寫と書き、雅印は押さないこと。
 
講義の後は、「希望の春」という課題で、条幅作品の実習となり、受講者がそれぞれに、半切や銀河大会用紙を使っての作品制作にかかり、講義・実習は終了しました。
 約一時間の実習を終え、早速、互評会となりました。
 
用紙と文字の大きさのバランスや、学年・氏名の位置・大きさなどを佐伯先生がお話しされ、一点・一点に素晴らしいコメントをいただき、参加された本部長先生方にも大変参考になったと好評のうちに、研究会も閉会となりました。
 今回の研究会で学んだことを基に、子供たちのすばらしい作品に銀河大会で出会えることと思います。
 
講義と指導にあたっていただいた佐伯司朗先生、方舟先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2002年4月定例研究会報告

  テーマ「中国書道史⑤・北魏~隷書から楷書へ~」

 現代書道研究所四月定例研究会は、平成十四年四月二十一日(日)に國學院大學院友会館で「中国書道史・北魏」をテーマに実施されました。当日は、午前中に「現代書道研究所総会」が実施された関係で、午後だけの研究会開催となりました。
 現代書道研究所佐伯司朗理事長の講義で研究会をスタート。隷書から楷書への書体の変遷と成立過程について北魏時代(二六四~五八八年)を中心に講義してくださいました。北魏は書道史上、最も建碑が盛んに行われ、造像記、摩崖碑、墓誌銘、一般碑として、楷書創世記の名品が数多く、事務局で用意された、北魏時代の代表的な作品の資料をもとに、字形などの違いについてお話されました。
 また、造像記、摩崖、墓誌の文字の違いが、その石窟や碑が造られた、場所や地形に関係することなど、幅広い内容でありました。
 続いて、現代書道研究所大澤司舜常任理事による、北魏風楷書の書写についての模範揮毫が行われました。大澤先生の見事な筆遣いに見とれているうちに、研究会は、一旦終了となり、続きは、次月の研究会へとなりました。
 
翌月、五月二十六日(日)の五月定例研究会午前の部は、「映像で見る書道史」と題し、北魏時代の造像記、摩崖碑、墓誌銘を中心に編集された学習ビデオを佐伯司朗先生の解説により、視聴しました。
 以上、「北魏」をテーマにした研究会は、二ヶ月にわたりまたが、講義だけでなく、映像による学習もあり、充実した研究会となりました。講義・解説をしてくださった佐伯司朗先生、模範揮毫をされた大澤司舜先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2002年2~3月定例研究会報告

  テーマ「近代詩文書を書く」

 現代書道研究所二月定例研究会は、平成十四年二月二十四日(日)の午前中。三月定例研究会は、三月二十四日(日)の午前とそれぞれ、半日ずつの開催となり、二回の研究会を連続テーマ「近代詩文書を書く」として実施されました。
 
二月の研究会は、会場となったオリンピックセンターの映像機器を利用しての学習となりました。昨年十一月研究会での佐伯司朗理事長や参加者の揮毫風景をビデオで見ながら、佐伯理事長の解説が行われました。特に、技術的な面で、幾つかの注意事項が話されました。
 
① 筆に墨が少なくなったと感じても直に墨をつけない。ゆっくり出来る限り、書き続ける。
 
② 筆先が割れたり、カスレても、一定のところまでそのまま書く。
 
  起筆・終筆・点画で筆を紙に押さえつけない。(押さえるのではなく、止まるように)
 
  手首だけで筆を動かさない。肘を使って大きな運動で筆を動かす。
 
  穂先が「薙刀」状態になったら直して書く。
 
  蔵法や逆入により、穂先に空気を入れて筆をひらかせ、筆を立てて書く。
続けて、中島司有先生の揮毫風景もビデオ鑑賞し、⑥の逆入をはじめとする筆法の学習も行いました。
 そして、近代詩文書作品の形式について、中島司有先生が発表されたこれまでの作品の中で、作品集に収められているものをプロジェクターで投影し、佐伯理事長により、体系別に解説が行われました。
 
① 縦書き・横書き、作品の形式は、基本的に自由。
 
  和文と英文が混ざった文章や英文のみの文章、その他、世界中の言語を素材とできる。
 
  近代詩と言うジャンルの性格上、明治以降の作者の文章を用いる。
 
  「漢字」を基本として、「かな」を漢字に合わせる。(主に造像記風)
 
  「かな」を基本として、行書風にまとめる。墨量の違いや筆圧の変化が美しい。
 
  文章の内容にあわせ、書風や墨色(時には、油彩などによる多色もある)に構成を工夫する。
以上、二月の研究会は、映像による「近代詩文書」学習となりました。
 翌月、三月の研究会は、会場を國學院大學院友会館に移し、実技を中心の学習が行われました。はじめに、佐伯司朗理事長の模範揮毫が行われ、二月にお話された、筆の扱い等、技術的な面を解説されながらの揮毫をしてくださいました。その後、参加者各自の作品制作にとりかかり、佐伯理事長が会場を巡回され、丁寧な指導が行われました。
 事務局では、近代詩文書の書き方をまとめた、ビデオの作成を考えており、この日も佐伯理事長の揮毫風景や指導風景などの収録も同時に行われました。今後一年ぐらいの間、機会を見つけ記録し、編集をしていきたいと思っています。尚、二月の研究会で上映されたビデオについては、未編集ですが恵比寿教室にて貸し出しています。また、遠方の方でダビング等をご希望の場合は、事務局にご相談ください。
 
以上、二・三月定例研究会は、講義・実習と短い時間のなかで実り多い研究会となりました。
 
指導にあたっていただいた佐伯司朗先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2001年10月定例研究会報告

  テーマ「中国書道史④・隷書その2~漢代から唐代へ~」

 現代書道研究所十月定例研究会は、平成十三年十月二十一日(日)に國學院大學院友会館で「隷書」をテーマに実施されました。当日は、午前中に「平成十三年度師範・教育師範試験」が実施された関係で、午後だけの研究会開催となりました。
 現代書道研究所理事長佐伯司朗先生の講義で研究会をスタート。前回(五月研究会)からの続きで、隷書の成立過程を漢代から唐代までを時代を追って講義してくださいました。
 事務局で用意された、漢代から唐代の隷書で代表的な作品(乙瑛碑・礼器碑・桐柏廟碑・史晨碑・曹全碑)数点の同じ文字を一覧にした資料をもとに佐伯先生の講義が進められ、同じ文字でも様々な香りがすることや字形・はたくなどの違いについてお話されました。

 また、隷書は時代だけでなく、権力を誇示するために「はたく」を強く書いたり、碑面の位置関係で大きくしたり、小さくしたりと筆者の地位や書写したときの状況が関係していたことなど、幅広い内容でありました。
 続いて、隷書の臨書についての講義と実習が行われました。
 筆法については、
 ①右上がりしないように線の下のラインをよく見る。②「はたく」=「はりつけ」の意味もあるので紙面に切りつけるように書く。③拓本で碑面が欠けたりしている場合は、線と線の間隔(分間)をよく見て判断するか、五体字類等の辞書で確認して書く。④臨書作品は、多少誇張して書いてもよい。⑤隷書のはたくは、一字にひとつしかない。⑥書き順は、篆書を参考に考える。⑦筆は、羊毛よりやや固めの毛がよい。
などのお話を佐伯先生がされたあと、参加者各自が、配布された資料に基づき、漢代の隷書の臨書をしてみました。
 佐伯司朗先生、佐伯方舟先生が机をまわり、個々に丁寧な指導があり、研究会が終了しました。
 以上、十月定例研究会は、講義・実習と短い時間でしたが、充実した研究会となりました。講義と指導にあたっていただいた佐伯司朗先生、佐伯方舟先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2001年9月定例研究会報告

 テーマ「作品制作について・師範試験対策編」

 現代書道研究所九月定例研究会は、平成十三年九月三十日(日)にオリンピックセンターにおいて、「作品制作について・師範試験対策編」をテーマに実施されました。
 内容は、十月に実施予定の師範・教育部師範試験の受験対策も兼ねて「漢字の筆順・部首」「書道史」「半紙作品制作」「半折作品制作」についての講義と実習となりました。
 始めに現代書道研究所佐伯司朗理事長が、今日の研究会のテーマと教育師範・師範試験の実施内容と方針についてお話しされました。そして、今日の研究会では、参加者全員で、教育部師範模擬試験に取り組むことになりました。
 午前中は、理論問題でその内容は、「①漢字の部分の名称②漢字の筆順③古典の筆者と時代」でした。三十分の模擬試験が終了し、答え合わせと佐伯理事長の解説が行われました。
 続いて、古川司源副理事長による、「漢字の部首と部分の名称」についての講義がされました。漢字の部首は、中国の康熙字典に基づいて決められていましたが、今では、学校の教科書や書写検定・漢字検定などがそれぞれに基準を作っており、漢和字典などでも若干の差が見られるとのことです。その中で、一般的な呼び名について紹介されました。以上が、午前中の講義。
 昼食後は、実技問題の模擬試験に取り組みました。実技問題の内容は、「④古典漢字の臨書⑤古典かなの臨書⑥ひらがな手本の書写⑦漢字手本の書写⑧自運作品の書写」でした。
 漢字臨書は半紙に四文字、かな臨書は半紙半分に一首、ひらがな手本は半紙に二文字、漢字手本は半紙に行書で六文字、自運作品は半切半分に漢字六文字又は俳句一首をそれぞれ書写しました。 参加者は、五軆字類を片手に、五点の作品を本番の試験さながらに真剣に書きました。六十分と言う時間は、長い様ですが、五点の作品の字を調べ、書くには短く、あっと言う間に過ぎてしまい、模擬試験と言うことで、多少時間の延長がありました。
 実技模擬試験が終了し、佐伯理事長による、実技試験のポイント解説が行われました。これまでの試験を参考に、合格ライン作品や不合格作品の例が上げられました。それぞれ、指定された用紙に体裁よく書写することが一番のポイントで、文字が大きすぎても、小さすぎてもいけないとのことでした。
 その後、常任理事の先生方が揮毫された模範作品が掲示され、それぞれの課題のまとめ方などについてもお話しされました。
 そして、受験予定者の作品の講評に入り、佐伯理事長から一人一人の作品に丁寧な指導がなされました。
 最後は、参加者からの質問コーナーとなり、佐伯方舟事務局長が、試験当日配付される用紙の説明や昨年までの試験問題の出題傾向・参考図書・受験に当たっての心構えなど、多くの質問にお答えくださいました。
 今回の研究会は、模擬試験・講義・ポイント解説と受験予定者だけでなく、参加の本部長先生や一般会員にも、大変勉強になる研究会となりました。
 講義・指導にあたっていただいた佐伯司朗先生、古川司源先生佐伯方舟先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2001年5月定例研究会報告

 テーマ「中国書道史③・木簡から隷書」

 現代書道研究所五月定例研究会は、平成十三年五月二十日(日)にオリンピックセンターで「木簡から隷書」をテーマに実施されました。
 現代書道研究所理事長佐伯司朗先生の講義で研究会をスタート。最初に時代背景から木簡の発見などを簡単に話された後、隷書の成立過程、木簡から漢代の隷書の石碑までを時代を追って講義してくださいました。
 木簡の形態や「一編・一巻・紐解く」などの現在の書物に関する語源の始まり・木簡に書かれた書体の位(篆書は皇帝が使用したので最上級の書体で、隷書は家臣が使用するものであったことなど)や隷書後の書体の変遷など興味深いお話が多く、木簡が書かれた時代の筆についてのお話では、木簡の隷書に見られる雄大なはねなどは、秦筆と称される鹿毫筆で書き得たので、「古筆↓秦筆↓今筆」という筆の形態の進化が「篆~隷~楷」という書体の変遷をもたらしたことなど、幅広い内容でありました。
 続いて、事務局長佐伯方舟先生が、木簡や碑の出土地の位置関係や木簡の発見された状況・時代的背景や大谷探検隊の逸話などについて講義をしてくださいました。

 講義の後は、中島司有先生のコレクションから、漢墓から出土した本物の板を使用した中国製の木簡など、レプリカ数点を佐伯司朗先生の解説で拝見しました。レプリカを真近に見て驚いたのは、実物の小ささでした。地方の下級官僚がメモ的に書かれた「中国古代簡牘」は、縦の長さが二十二~三センチ、これには、隷書から草書への変化の過程にある文字も見られました。中央の上級官僚が地方に宛てた詔勅や法令「武威漢簡」は、五十六センチで一片の幅が一センチほどであり、内容が重要なだけに、文字も綺麗な隷書で書かれていました。午前中の講義はここまでで終了。
 昼食後は、プロジェクターを使用して、佐伯司朗先生の隷書の書写の方法についての講義を受けました。特に、隷書の破磔(はたく・右はらい)について、楷書の右はらいとは違い、筆をひねり、はねの最後まで神経を使って書いていることや木簡の隷書と漢代の隷書の筆法の変化などを先生がお書きになるのをプロジェクターでスクリーンに大写しにして拝見することができ、よく理解することができました。

 実習は、事務局で用意して頂いた木片(三十×一センチ)に参加者各自が、配布された資料に基づき、居延漢簡の臨書をしてみました。木に文字を書くということで、書く前に「とのこ」を塗ることや、間違えた時の直し方(削る)など、紙に書くのとは違うさまざまな注意事項を教わりました。
 最後に、各自が臨書したものをプロジェクターで拡大してみると小さな文字も細部まで確認することが出来、より学習が深まりました。
 以上、五月定例研究会は、講義・見学・体験と大変充実した盛り沢山の研究会となりました。司有先生の貴重なコレクションの一部も拝見することが出来、参加者それぞれが、肌で感じる事のできた、数時間だったと思います。
 貴重なコレクションをお出しいただいた司有先生、本当にありがとうございました。そして、講義と指導にあたっていただいた佐伯司朗先生、佐伯方舟先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2001年4月定例研究会報告

 テーマ「近代詩文書を書く・その2」

 現代書道研究所四月定例研究会は、平成十三年四月二十二日(日)に國學院大學院友会館で二月に引き続き、「近代詩を書く」をテーマに実施されました。当日は、午前中が現代書道研究所総会が開催されたため、午後だけの研究会となりました。

 初めに理事長佐伯司朗先生から「今日の学習のポイント」として、「行・草による近代詩文書の書き方」「英文やカタカナの入った近代詩文書の書き方」があげられました。
『行・草による作品』
 連綿の角度・方向が同じにならないように注意し、連綿を多用し過ぎないこと。文字のスタイルにあった線を書くために、筆を選ぶ事なども大切。
『英文・カタカナを含む作品』
 最近の流行歌(ドラマの主題歌やCMソング)には、英文やカタカナが多用されているので、近代詩文書を書くためには、それらを避けては通れなくなっている。決まったスタイルはないので、漢字やかなにマッチしていればよいし、カタカナは漢字の一部と考え、アルファベットは大文字で書くと漢字とマッチしやすい。

 近代詩文書作家協会や毎日展では、全文書けとか、字を変えるなとか、制約も多いのですが、司有先生は「自分が感動した文学作品を書くからいいものになるんだ」というお考えだし、古典文学、近代文学、流行歌の区分けなどなく、自分がいいと思う詩なり歌なりを書くことがこれからの近代詩文書なのだとお話されました。
 続けて佐伯先生の模範揮毫が行われ、行・草作品の筆遣いや英文・カタカナの書き方を次々に、紙や筆を変えながらお書きになりました。

 その後、実習時間があり、最後に参加者の作品互評会となりました。事務局長佐伯方舟先生の司会・進行による互評会では、常任理事の鎌田紗和、古川司邦、渡邉司寳の各先生が順番に、参加者の作品に丁寧に講評をされ、佐伯司朗先生からの技術的なアドバイスなどが行われました。
 以上、四月定例研究会は、短い時間でしたが、近代詩文書の新しい分野の勉強で、有意義な研究会となりました。
 講義・模範揮毫をしてくださいました佐伯司朗先生はじめ、常任理事の先生方、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2001年3月定例研究会報告

 テーマ「大字かなを学ぶ」

 現代書道研究所三月定例研究会は、平成十三年三月十一日(日)に國學院大學院友会館で「大字かなを学ぶ・半切にかなを書く」をテーマに実施されました。当日は、午後に現代書道研究所役員会が予定されていたため、午前中だけの研究会となりました。
 今月は、常任理事田澤伯堂先生が講師を担当され、「かな条幅制作を楽しむために」と題した資料を基に、ご自身が工夫された「かな条幅作品」の制作過程についてお話しくださいました。
 まず、全体的な心得として、好きで書く事、書を楽しむ事、そして「変化と統一」が大切だと語られました。
 先生のお話を要約すると次のようになります。
『第一に文字を選ぶ』
 かな文字は、「文字の百面相」とも言うほど、さまざまな古体があります。その中から、大小・長短・広狭・痩太や左右・上下のバランスを考えて選びます。それには、古典から学び、プライベート字典を作ると良いでしょう。とにかく「写し写して、筆、百臨」と言われるほど、倣書作品を書いてみる事です。
『第二に筆を選ぶ事』
 さまざまな筆と筆法により、線質の変化が得られるのです。
『第三に紙を選ぶ事』
 紙の材質により、潤渇・墨色が大きく変化します。その他、墨量や滲み、墨継ぎなどを考える事が大切です。
 初学における創作へのアプローチとしては、古典の臨書でメカニカルな確かさを習得し、それを感じさせないで、情感を出せるように工夫しながら、創作の質を高めていく事が必要です。完成のパターンはなく、芸術は偉大な未完成であるのだと先生のお考えを熱く語ってくださいました。
 続けて田澤先生の模範揮毫が行われ、藍紙本万葉集の一首を題材にした、創作課程が披露されました。まず、半切縦に拡大臨書がされました。古典の良い所を残しながら、全体のバランスの中で、文字を入れ替えてお書きになられ、次々に、紙や筆を変えながら、潤渇・大小を加えて、徐々に作品として仕上がっていく過程に、参加者一同が真剣に見入っていました。
 揮毫のあとは、参加者からの質問タイムになり、田澤先生が一つ一つの質問に丁寧にお答えになり、また、佐伯方舟先生や古川司邦先生・鎌田紗和先生などの常任理事の先生方が「大字かな」の取り組み方についてのお話もあり、大変勉強になりました。
 以上、三月定例研究会は、短い時間でしたが、「大字かな」と言う新しい分野の勉強で、有意義な研究会となりました。
 講義・模範揮毫をしていただきました田澤伯堂先生はじめ、佐伯先生・古川先生・鎌田先生など常任理事の先生方、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2001年2月定例研究会報告

  テーマ「近代詩文書を書く」

 現代書道研究所二十一世紀最初の定例研究会は、平成十三年二月十八日(日)に國學院大學院友会館で「近代詩を書く」をテーマに実施されました。
 研究会に先立ち、現代書道研究所事務局長佐伯方舟先生から、二月十五日に中島司有先生が「国際文化功労賞」を受賞されたこと、佐伯司朗先生が若手現代書作家に贈られる「国井誠海現代書奨励基金」の今年度顕彰者に決まり、三月二十七日に受彰されることが発表されました。先生ご本人はもとより、我々現代書道研究所会員にとっても喜ばしい出来事であり、参加者一同からも大きな拍手がおこりました。両先生、本当におめでとうございました。
 研究会の方は、初めに理事長佐伯司朗先生から「二十一世紀の近代詩文書」について講義がありました。佐伯先生は、ご自身の作品を見た若い人(十~二十代)達が、自分も書いてみたいと思ってもらえるような作品を作っていくこと・素材も文学的によいものも大切にしたいが、自分が感動できるものを文章や内容にあわせた文字で表現していくことがこれからの近代詩文書に必要なことであろうと語られました。文章にあわせた文字を書くためには、多くの古典を学び、自分の引き出しにしまっておき、何時でも引き出せるようにしておくこと・技術的には、打ち込みや終筆は押さえすぎてはいけない、筆を開かせ上下動の運動を利用して書く・とにかく、読めなくちゃダメ・感動を持って一枚一枚を大切に書くことが、見る人にも感動を与えるのだと先生のお考えを熱く語ってくださいました。
 続けて実習に入り、配布された短歌の資料などを参考に、参加者各自で作品制作にとりかかりました。
 今回の研究会には、近代詩文書初体験の受講者も多く、佐伯司朗先生の他、副理事長古川司源先生、常任理事鎌田紗和先生、佐伯方舟先生が会場を巡回され、丁寧な指導が行われました。昼食を挟んでの三時間以上の実習では、佐伯司朗先生の模範揮毫が巡回中、幾度も行われ、魔法の様に運ばれる先生の筆の動きに、参加者一同が釘付けになりました。
 日本書道美術院の会議に参加されるため、佐伯司朗先生が研究会の途中で会場を出られましたが、その後、佐伯方舟先生の進行で作品互評会が行われました。
 参加者が書かれた作品には、古川司源先生、鎌田紗和先生の二名の先生による感想、講評がなされました。古川先生は「字形をしっかり、きちんと書く事、一本の線の中にも変化をつける事」を、鎌田先生は「詩文書は楽しいもの、頭で考えないで書きたいものを書いてみる、沢山書くうちに楽しさも解る」などをお話しされました。
 以上、二月定例研究会は、講義・実習・作品互評会と短い時間のなかで実り多い研究会となりました。
 指導にあたっていただいた各先生方、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2000年10月定例研究会報告

  テーマ「中国書道史②周~秦」

 現代書道研究所十月定例研究会は、平成十二年十月二十二日(日)にオリンピックセンターで実施されました。
 研究会にさきだち、午前中に平成十二年度現代書道研究所師範・教育部師範試験が実施され、全国より多数の会員が受験されました。試験結果は、検定委員会の審査を経て、後日発表され、平成十三年年始に認定が行われる予定です。
 そこで、今回の研究会は午後だけの開催となりました。師範試験受験に訪れた会員の多くが、午後の研究会にも参加され、参加人数も多く活気あふれる研究会となりました。
 今回のテーマは、五月の研究会の続きで「中国書道史」の第二回目「周~秦」時代の文字について講義がされました。
 最初に現代書道研究所理事長佐伯司朗先生が「皇帝の文字」をテーマに周時代を代表する篆書・石鼓文から秦時代の泰山刻石までの文字の流れと始皇帝時代の文字改革・文字統一や篆書・隷書の区別についてのお話がありました。
 国の標準規格の統一・度量衡(長さ・重さの統一)に際して文字が果たした役割が重要であった事など、文字にまつわる様々なお話に参加者も興味深く耳を傾けていました。
 続けて、常任理事大澤司舜先生が「始皇帝文物展」の図録をもとに当時の文字の扱われ方の講義があり、「篆書は彫るための文字」だった事などをお話しされました。
 講義の後は、佐伯先生・大澤先生による篆書の席上揮毫が行われました。お二人の先生それぞれに独自の技法があり、解説されながらの揮毫に参加者は、感激しきりでした。
 その後、遠くから参加された会員を代表して、会津若松から参加の永島周香さんに佐伯理事長が手を取っての実演指導となりました。日頃、銀河紙上を通しての学習だけでは学べない、貴重な時間となりました。また、参加者も佐伯先生が指導される姿を拝見し、これも大変勉強になりました。
 以上、今回の研究会は、講義・席上揮毫・実演指導と短い時間のなかで盛り沢山の研究会となり、参加者それぞれが、多くの事を学べた数時間だったと思います。
 講義と席上揮毫・指導にあたっていただいた佐伯司朗先生、大澤司舜先生、ありがとうございました。

 

 

 

現代書道研究所 2000年9月定例研究会報告

  テーマ「作品制作について・師範試験対策編」

 現代書道研究所九月定例研究会は、平成十二年九月十七日(日)にオリンピックセンターにおいて、「作品制作について・師範試験対策編」をテーマに実施されました。
 内容は、十月に実施予定の師範・教育部師範試験の受験対策も兼ねて「漢字の筆順・部首」「半紙作品制作」「半折作品制作」についての講義と実習となりました。
 始めに現代書道研究所佐伯司朗理事長から今日の研究会のテーマと漢字の成り立ち、筆順の重要性・合理性、古体がな、かな・カタカナの字母についての講義がされました。
 続いて、古川司源副理事長による、「漢字の筆順」についての講義がされました。漢字の筆順には、上から下へ、左から右へ、横画がさき、縦画がさき、中がさき、囲む外側がさき、左払いがさき、つらぬく縦画が最後、つらぬく横画は最後など、幾つかの法則があり、それぞれの法則にあたる文字が紹介されました。以上が、午前中の講義。
 昼食後は、午前中の講義の復習として、漢字の筆順と部首の小テストを実施したあと、半紙作品の実習に入りました。
 用意された古典のコピーを見て、いずれも、課題の小さい文字を大きく臨書する訓練として、半紙に六文字ずつの漢字臨書を二枚とかなを半紙半分に一首が課題。今回は、「雁塔聖教序」(楷書)と「集字聖教序」(行書)の漢字二点と高野切一種を臨書しました。
 その後、常任理事の先生方による、半折の自運作品の模範揮毫が行われました。トップバッターは、鎌田紗和常任理事。半折1/2に漢字五文字を行書で書かれました。二人目に、古川司源副理事長は、半折に漢字十二文字を楷書で書かれました。三人目は、田澤伯堂常任理事が半折に古体がなを使って吉井勇の歌を漢字かな混じり文で書かれました。それぞれ、揮毫された先生からの一言アドバイスがあり、師範試験受験者への作品制作上の注意事項などが佐伯方舟事務局長からお話しされました。
 最後に、鎌田紗和常任理事から、ご自身がお書きになられた、数点の作品をもとに「漢字かなまじり書」の作品制作のポイントについての講義があり、閉会となりました。
 今回の研究会は、講義・実習・小テストと短い時間のなかで盛り沢山の研究会となり、十月の師範試験受験予定の方々も多く参加され、何時に無く緊張感の漂った研究会となりました。
 講義・指導・模範揮毫にあたっていただいた佐伯司朗先生、佐伯方舟先生、古川司源先生、田澤伯堂先生、鎌田紗和先生ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 2000年5月定例研究会報告

  テーマ「中国書道史①殷・周代」 

 現代書道研究所五月定例研究会は、平成十二年五月二十八日・(日)にオリンピックセンターにて、「中国書道史①殷・周代」をテーマに実施されました。
  研究会に先立ち、現代書道研究所事務局長佐伯方舟先生から、四月に開催された「現代書道研究所選抜特別展」の報告(詳しくは銀河六月号参照)がされ、次回開催に向けて会員各自がそれぞれの分野での研究を続けて、今回展にまさる成果をお願いしたいとのお話がありました。そして、この研究会では、原点に還って「文字の歴史・書道史」について、今月から会員相互に学習していくことが確認されました。
 続けて、中島司有先生の中国美術史研究から「漢字の曙・甲骨文の発見と研究の初期」をテキストとして、佐伯方舟先生の講義に入りました。中島司有先生が昭和五十九年に甲骨文字研究のため、中国淇県の殷の都跡を訪れた時のエピソードや台湾の故宮博物院での甲骨文字研究の現状など、興味深いお話を沢山してくださいました。
 お話の後は、中島司有先生のコレクションの中から、実際に文字の刻まれた甲骨(河南省出土・鑑定書付きの本物)二点と中国で作られた甲骨のレプリカ数点が机に並べられ見学会となった。参加者のほとんどが本物の甲骨を真近に見るのは初めてで、感激!レプリカは、手にとって見ることが出来た。驚いたのは、実物の小ささでした。大きいもので十八センチ、小さいものは掌にのる大きさでした。以上が、午前中の講義。
 昼食後今度は、机に並べられた中国製の青銅器の見学から始まりました。これも司有先生のコレクションからで、現代書道研究所理事長佐伯司朗先生が古代の青銅器の製造方法や青銅器に金文をどのように刻んだのかなどを実物を前に解説してくださいました。
 その後、佐伯司朗先生の金文の歴史と内容、そして書写の方法についての講義があり、最後に一時間ほど、参加者各自が、配布された資料に基づき、甲骨文字と金文の書写実習をして研究会は終了しました。
 以上、今回の研究会は、講義・見学・体験と短い時間のなかで盛り沢山の研究会となった。司有先生の貴重なコレクションの一部も拝見することが出来、参加者それぞれが、肌で感じる事のできた、数時間だったと思います。
 講義資料とコレクションをお出しいただいた司有先生、本当にありがとうございました。そして、実際に講義と指導にあたっていただいた佐伯司朗先生、佐伯方舟先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所 三~四月定例研究会報告

  テーマ「墨色の研究」

 現代書道研究所三月定例研究会は、平成十二年三月十二日(日)の午前中。四月定例研究会は、平成十二年四月十六日(日)の午後とそれぞれ、半日ずつの開催となり、二回の研究会を連続テーマ「墨色の研究」として実施されました。
 三月の研究会の冒頭、現代書道研究所理事長佐伯司朗先生から、墨についての原料・製法・大きさ・種類・発墨・宿墨等についての講義が、映像と実物を掲げながら行われました。
①墨の歴史は、甲骨文字が生まれた、三千数百年前ぐらいに、下書きに使われた物に墨らしきものが確認されている。
②墨の原料は、煤煙・膠・香料の三つ。煤煙の種類(油煙・松煙・工業煙など)と配合により、墨色がきまる。
③墨の大きさは、「丁」で表され、和墨(日本製の墨)と唐墨・(中国製の墨)では、重さの基準に違いがある。
④墨は、湿気を嫌うので使用後は、すぐに紙で水分を拭き取り、桐箱等に入れて保管する。
 発墨や宿墨については、墨の種類と水での倍率の違いによる発色の違いを映像で説明されました。
 引き続き、佐伯方舟先生の指導により、淡墨の作り方、使い方の体験を参加者で行ないました。
 数種類の墨汁を用意して、水の倍率の違いによる、発色の違いを参加者全員が、実際に書いてみて自分の腕と目で確認しました。体験して驚いた事は、同じ墨汁でも、それを割る、水の違いにより、発色が違う事でした。水道水・ミネラル水・井戸水の三通りで、同じ倍率で割っても、微妙に色の違いが出るのです。当然、書く紙の違いもあり、参加者一同驚きの連続でした。
 以上、三月定例研究会は、主に淡墨について、研究・学習・体験をして、終了しました。
 翌月、四月の定例研究会では、佐伯司朗先生の指導により、今度は、濃墨の使い方の体験を参加者で行ないました。
 濃墨と言っても、単に黒いだけでは無く、現在は、色々なメーカーから数十種類の「濃墨・高濃墨・超濃墨」と称される墨汁が発売されており、書き味・色合い・紙との相性等、実に奥の深いものだと、実際に体験してみて感じました。
 特に、濃墨は乾くのに時間がかかる上、乾いたあとの色にも特色があり、参加者同士で、仕上がった試作品の色について、さまざまな意見が交わされていました。
 今回の二ヵ月に渡る、統一テーマでの研究会は、体験を中心とした研究会で、参加者それぞれが、肌で感じる事のできた、数時間だったと思います。二回の研究会に参加して、筆法も淡墨・濃墨、それぞれの味わいを出すため、研究がまだまだ必要だと実感し、体験に基づいた研究の重要性を再認識いたしました。
 講義と指導にあたっていただいた佐伯司朗先生、佐伯方舟先生、ありがとうございました。
 〔参考文献〕 芸術新聞社 「墨」一四二号

 

 

現代書道研究所二月定例研究会報告

  テーマ「作品制作・随意課題の書き方」

 現代書道研究所の二月定例研究会は、平成十二年二月二十日・(日)に國學院大学院友会館で「作品制作・随意課題の書き方」をテーマに実施されました。
 当日は、東京地方は天候が思わしくありませんでしたが、西暦二千年第一回目の研究会という事もあり、また、今年度新たに、師範・教育師範に合格された方も多数出席され、熱気あふれた研究会となりました。
 今回の研究会は、西暦二千年一月号の銀河から、新設された随意課題(本誌二ページ参照)の書き方のポイントと新師範の方々の指導方法のヒントになるよう、テーマが設定されました。
 第一部は、現代書道研究所理事長佐伯司朗先生から、銀河新連載の「随意課題」の内容やテーマについての意義、そして、随意課題を書く事により、そこから学ぶべき内容などについての講義がありました。
 随意課題は、新たな創作では無く、古典の香のする創作作品が多く生まれる事を期待している事。展覧会作品とは違い、自由なサイズ、自由な書体、自由な発想の作品で、古典をイメージさせるような作品を期待している事。中島司有先生の提唱される、・「各個人の未知の分野の開拓」が、随意課題のテーマである事をお話しされました。
 書き方のポイントとしては、まず第一に、誤字・脱字に注意して、五体字類などの書体辞典で、文字を調べて書く事。第二に全体のバランスに注意し、文字と文字がぶつからない様にする事。行書・草書の場合、文字の長短、墨つぎなども全体のバランスの注意点になる事。
 出来れば、一度自然体で書いてみて、何回か草稿をして、仕上げる事。とにかく、勇気をもってチャレンジする事が大切。 落款の入れ方は、色々考えられるが、一般的な例を示すと、
 ①漢詩は、作者名・筆者名を書く。 例・杜甫詩 司朗書(作者名を略しても良い。)
 ②明治以前の俳句・短歌の場合は、印だけでも良い。
 ③現代文は、作者名・筆者名を必ず書く。 例・伊藤左千夫の歌 司朗記(司朗だけでも良い)
 その他、紙のサイズや書体の違いによる様々なパターンを佐伯先生が実際に揮毫されたお作品を示して、お話しされました。
 佐伯先生の講義に引きつづき第二部の実習となり、受講者がそれぞれに、一月号・二月号の課題を半紙を使っての作品制作にかかり、午前中の講義・実習は終了しました。
 昼食後は、同じ課題を条幅作品にした場合のポイントについて佐伯先生から講義があり、早速、受講者それぞれが、床に下敷きを広げての実習にとりかかりました。
 約二時間の実習の間、佐伯先生と常任理事鎌田紗和先生の席上揮毫などもあり、大変充実し、楽しく作品を仕上げることが出来ました。
 最後の第三部は、実習で作ったばかりの作品の互評会となりました。感性豊かな参加者が多く、さまざまなスタイルの作品が出来上がり、とても華やかな互評会になりました。
 随意課題は、それぞれの作者の感性と古典のベースを上手くマッチさせると素晴らしい作品が出来るのではないかと佐伯先生がお話しされ、一点・一点に素晴らしいコメントをいただき、初めて参加された、新師範・新教育師範の方々にも大変参考になったと好評のうちに、研究会も閉会となりました。
 今後はもっと、師範・教育師範の方や、これから師範・教育師範を目指される方々に多く学んでいただける様なテーマ・内容の研究会になると良いと思いました。
 講義と指導にあたっていただいた佐伯司朗先生、席上揮毫された鎌田紗和先生、ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所十一月定例研究会報告

  テーマ「作品制作・新しい素材を求めて」

 現代書道研究所の十一月定例研究会は、平成十一年十一月十四日(日)に國學院大学院友会館で「作品制作・新しい素材を求めて」をテーマに実施されました。今回の研究会は、来年四月に予定されている、現代書道研究所選抜特別展の開催に向けて、様々な素材(白い紙に黒い墨以外の)による作品制作のヒントになるよう、テーマが設定されました。
 第一部は、現代書道研究所理事長佐伯司朗先生から、新しい素材についての「手法」「土台となる素材」「用具の工夫」等についての講義がありました。
 墨以外の手法による区分としては、油彩・アクリル絵具・水彩・パステル・染色・コラージュ・写真・CG・陶器・ガラス・拓本・刺繍・パッチワーク・絨毯などがあげられました。これらの素材を使う場合には、作品の内容(文章や文字)と素材や色がマッチすること、例えば、あたたかい内容の文字や文章は、絨毯やパッチワークで表現する等です。
 次に、紙の他の土台となる素材には、石・タイル・瓦・キャンバス・布・ガラス・木・皮・粘土・パン・金属・発砲スチロール・皿などがあげられました。これらの素材を使った場合は、彫る・書く・作る・織る・縫う・貼るなどの手法が用いられ、さらに、用具の工夫も必要になります。そこで、筆以外の用具として、割り箸・草・楊枝・ブラシ・ナイフ・ハサミなどが紹介されました。
 続いて、常任理事佐伯方舟先生が、メタリック墨液を使用しての試作品の紹介と解説をされました。メタリック墨液は、最近発売された新素材で、墨にメタリック粒子が混ぜられた物で、金・銀・青・緑などの色があります。筆で紙に書くと黒をベースに金色や銀色に発色した字ができ、周りのにじみは黒になると言う物です。
 引き続き第二部の実習となり、受講者がそれぞれに、配られた色紙を使って、ちぎり絵の手法で作品制作にかかりました。また、教室の片隅には、メタリック墨液の体験コーナーが設けられ、佐伯方舟先生の指導のもと、メタリック墨液を使っての作品試作も行なわれました。一時間ほどの実習時間でしたが、大変充実し、楽しく作品を仕上げることが出来ました。
 最後の第三部は、実習で作ったばかりの作品の互評会となりました。感性豊かな参加者が多く、同じ素材を使ったとは思えないほど様々な作品が出来上がり、とても華やかな互評会になりました。
 新しい素材を使っての作品制作は、それぞれの作者の感性と得意分野(趣味)を上手くマッチさせると素晴らしい作品が出来るのではないかと佐伯司朗先生がお話しされ、一例として、大川司寛先生(ご自宅が写真屋さん)の写真と文字の合成による試作品が紹介されました。
 終わりに、中島司有先生の水彩による作品「西域懐古(元軍の剣・・・)」が展示され、佐伯司朗先生の解説による鑑賞会となりました。久し振りに司有先生の水彩作品を間近に拝見出来、その色彩と文字の素晴らしさに、参加者一同感激のうちに、研究会も閉会となりました。
 講義と指導にあたっていただいた、佐伯司朗先生・方舟先生ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所九月定例研究会報告

  テーマ「作品制作について・漢字作品編」

 現代書道研究所の九月定例研究会は、平成十一年九月二十六日(日)に國學院大学院友会館で「作品制作について・漢字作品編」をテーマに実施されました。久し振りの研究会で参加者がとても多く、教室はほぼ満席での開催となりました。
 第一部は、現代書道研究所理事長佐伯司朗先生の臨書を基礎とした自運作品制作についての講義から始まりました。
 形臨・意臨・背臨の違いから、臨書の学習過程。臨書と倣書の関係。倣書から入る新たな臨書の学習方法。そして、臨書学習から自運作品への導入方法まで、佐伯先生の臨書に対する考え方などを最初にお話しされました。
 佐伯先生が半切と半切二分の一の用紙に三日がかりで書かれた、様々な書体・文字数の作品を掲げながら、作品構成のポイントや、中島司有先生の倣書作品の製作過程でのお話など、普段は聞くことの出来ない作品制作裏話しなど、大変興味深いお話を沢山されました。
 続いて、常任理事大澤司舜先生が、九成宮醴泉銘をベースに書かれたご自身の作品を掲げられ、作品を作るまでの過程や字割り(布字)の方法、升目のとり方など、初心者にも解りやすく解説されました。
 お二人の先生の講義の後は、当日参加された、常任理事の先生方の席上揮毫が行なわれました。事前の打ち合わせも無く、突然のご指名であったにもかかわらず、七名の先生方が、その場で配られた課題を鮮やかに、それも申し合わせたかの様に、それぞれ違った書体で揮毫されました。席上揮毫をされたのは、古川司源先生(六朝楷書)・大澤司舜先生(唐楷書)・古川司邦先生(行書)・鎌田紗和先生(隷書)・石野司 先生(草書)・渡邉司寳先生(行書)・金田翠夢先生(楷書)でした。参加者一同、各先生の見事な筆使いに息を飲み、そして、書き終わると同時に大きな拍手がおこりました。
 昼食後の第二部は、実習となり、受講者がそれぞれに、配られた資料をもとに作品制作にかかりました。午前中に席上揮毫をされた常任理事の先生方が、受講者の各机を廻り、ご指導されながら、それぞれの質問にも丁寧に答えられ、約二時間の実習時間で参加者が半切に十四文字と半切二分の一サイズに六文字の作品をそれぞれ一枚ずつ仕上げることが出来ました。
 最後の第三部は、実習で書き上げたばかりの作品の互評会となりました。熱心な参加者が多く、教室中が作品で埋め尽くされ、壮観でした。指導にあたられた、常任理事の先生方が手分けをされ、一点・一点丁寧に講評がなされました。最後に佐伯先生の総評があり、参加者一同感激のうちに、研究会も閉会となりました。
 講義と指導にあたっていただいた、佐伯司朗先生はじめ、席上揮毫・指導・講評と大活躍された、常任理事の先生方ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所五月定例研究会報告

  テーマ「篆刻を学ぶ・入門編」

 現代書道研究所の五月定例研究会は、平成十一年五月二十三日(日)にオリンピック記念青少年センターで「篆刻を学ぶ・入門編」をテーマに実施されました。
 第一部は、現代書道研究所理事長佐伯司朗先生と常任理事大澤司瞬先生、お二人の先生の講義から始まりました。はじめに佐伯先生から、篆刻の用具についてのお話がありました。篆刻をする場合に必要となる主な用具は、次の通り。①石(印材)・②墨と朱墨・③小筆・④印刀(鉄筆)・⑤印床・⑥印泥・⑦印矩・⑧印褥・⑨印箋 これらの用具について、実物と共に使用方法などを丁寧にご説明された後、印の形式や仮名・色紙・半折・全紙等、作品サイズに合わせた印の使い方、そして、印稿をする際の文字の選び方まで、佐伯先生が講義されました。
 続いて、大澤司瞬先生からは、実際に印を作る作業工程についての講義がなされました。篆刻の作業工程は主に次の通り。①印の構想・②印材の整形・③選文(印文を考える)・④印稿・⑤布字(印面に字を入れる・字入れ)・⑥刻印・⑦試押・⑧補刀・⑨押印 これらの作業工程の中でも、選文について、誰でも使えるような文や縁起の良い文字についてのお話があり、中国古代の遊印のコピーが配られ、初心者には、まずこの中から気に入った文を臨刻(模刻)することが勧められました。
 続いて、作業工程について、プロジェクターを使って、ひとつひとつの作業工程を大きなスクリーンに写しながらの解説となりました。大澤先生は、幾つもの作業工程を短時間に説明される為に、段階ごとに作業が進められた見本を幾通りも用意されていて、解説に合わせて作業が進められた見本が次から次へと画面に写し出されていく様は、まるでテレビの料理番組の様で、実に鮮やかにそして、初心者にも解りやすく解説されました。
 お二人の先生の講義の後は、受講者からの質問コーナーとなり、篆刻の専門用語の説明や作品制作の際の印の使い方についての悩み等、ひとつひとつの質問に丁寧に答えられ、お二人の先生の講義が終了しました。
 第二部は、実習となり、受講者がそれぞれに篆刻に挑戦となりました。お二人の講師の先生は、受講者の各机を廻り、布字や刻印を指導されながら、それぞれの質問にも丁寧に答えられ、約二時間の実習時間でしたが、篆刻は初めての方も多く、印が出来上がる所まではいきませんでした。
 最後の第三部は、印の袴(印面を保護するキャップ)づくりの実演となりました。篆刻用具の販売も兼ねて研究会に参加された、峯村明鳳堂の峯村富夫社長が袴づくり実演をされました。明鳳堂オリジナルの袴セットを使い数分で完成、受講者一同、一瞬の出来事に感動。実際に参加者の代表が峯村さんの児童により実演、無事自分の印の袴を作る事が出来ました。最後に参加者全員に明鳳堂さんから印箋がサービスで配られ、研究会も閉会となりました。
 講義と指導にあたっていただいた、佐伯司朗先生・大澤司瞬先生、そして、明鳳堂の峯村富夫社長ありがとうございました。

 

 

現代書道研究所四月定例研究会報告

  テーマ「臨書の学び方・かな編」

 現代書道研究所の四月定例研究会は、平成十一年四月二十五日(日)にオリンピック記念青少年センターで「臨書の学び方・かな編」をテーマに実施されました。
 第一部は、この日のために京都からわざわざお越し頂いた、現代書道研究所名誉顧問の川村正風先生の講義から始まりました。
 川村先生は、師匠の羽田春埜先生の古筆かなの臨書についての教えを中心に講義されました。臨書の厳しさや羽田先生の臨書に対する心構えを羽田先生が毎日トレーニングされた練習帳などを実際に持参され、熱心にお話しされました。
 川村先生のお話しの中で心に残ったのは、「個性とは、古筆の臨書を徹底的に書き込んで、その上でにじみ出た物である。」という言葉でした。「臨書も満足にせずに書いた物は個性ではなく、書き癖なのだ。」とも言われ、個性と癖の大きな違いについてお話しされました。
 かなの基礎は、粘葉本和漢朗詠集にあり、初心者は徹底的に粘葉本和漢朗詠集を学び、その後、高野切第三種へ、そして、好みの古筆を学ぶべきだと言われました。勉強のしかたは、原点を尊重し、古筆に忠実に、毎日のトレーニングが大切だとお話しされました。最後に川村先生ご自身が、毎日練習されている習作品を展示され、受講者一同で拝見し、感動の講義となりました。
 続いて、第二部は、佐伯方舟先生と古川司邦先生、お二人の先生の指導による古筆かなを基にした、短冊・色紙作品の実習になりました。短冊用紙の天地の見分け方や他詠・自詠の書式の違い等を佐伯方舟先生が解りやすく講義された後、古川司邦先生から色紙のちらし書きのスタイルや上の句・下の句の書き分け方等の講義がありました。
 そして、実際の短冊・色紙作品の製作に各受講者が取り掛かりました。お二人の講師の先生は、受講者の各机を廻り、それぞれの質問に丁寧に答えられ、約一時間で、全員がひとつづつの作品を仕上げる事が出来ました。
 最後の第三部は、出来上がった作品の互評会となりました。今回は、新しくなったオリンピック記念青少年センター研修室の最新鋭のプロジェクターを使って、ひとりひとりの作品が大きなスクリーンに写し出され、講師の先生からご指導をいただきました。ひとりひとりの作品に丁寧なご指導と心のこもった批評をいただき、受講者一同感激の内に研究会も閉会となりました。
 講義と指導にあたっていただいた、川村正風先生・佐伯方舟先生・古川司邦先生ありがとうございました。