第41回日本書展
「内閣総理大臣奨励賞」


 

 

第41回日本書展の第一席「内閣総理大臣奨励賞」は、浅川溪鳳さんが受賞されました。受賞後の感想などをうかがいました。受賞者の浅川さんは、次年度から同人会員に推挙されます。

Q1 受賞の知らせを受けたときの感想は?

会社から帰宅し一息ついていると、インターフォンが鳴り、電報を受け取りました。
それはとても華やかな七宝焼の電報で、ただ事では無いと自分でも心拍数が速まるのが分かりました。その場にいた父と恐る恐る開くと『内閣総理大臣奨励賞』の文字が目に飛び込み、思いがけない素晴らしい知らせに父と手を取り合って喜びました。
佐伯司朗先生・方舟先生に電話でお礼を申し上げると、「良かったね、これからも頑張ってね」とのお言葉をいただき、これまでご指導頂いた諸先生方、支えていただいた方々への感謝の念で胸がいっぱいになりました。
その後、姉に電話で報告すると、驚いてしばらく信じられなかったようですが、「おめでとう」と共に喜んでくれました。

Q2 作品の題材とそれを選ばれた理由は?

近年は仮名創作を書くことが多く、古典から学んだことを踏まえ作品作りに活かしていますが、まだまだ表現の幅が狭いことを痛感していました。
今回の出品にあたり、創作も考えましたが、若いうちに徹底的に古典に向き合うことが今後にも活きていくと信じ、佐伯方舟先生に相談させていただき、西本願寺本三十六人家集の中で同じ料紙を使用し同筆とされる友則集と小大君集と斎宮女御集の三集を全臨することに決めました。
西本願寺本三十六人家集は、特に豪華な料紙を使用し、技術的にも優れた「これぞ仮名」という平安時代の逸品のため、とても勉強になる題材であること、特に斎宮女御集は長さもあり、書きごたえもあり、綺麗な字形のため、これからの作品作りに活かされると考えてこの課題を選びました。

Q3 作品を仕上げるうえで特に苦労された点は?

同筆とされる三つの古典ですが、それぞれに特徴があります。
料紙を選ぶにあたり、作風を引き出しつつも一つの作品として統一感もあるよう色は多用せず、単色でまとめました。友則集の作風は規律正しくおおらかなので純白、小大君集は男性的で大胆なため青色、斎宮女御集は女性的な細やかさと美しさがあるため薄緑色を使用し、品格にも配慮しました。
また私は、細く繊細かつ芯があり、連綿は文字と文字をつなげる要素におさまらず、表情豊かで作品の優雅さを表現している線が仮名の命だと考えていて、特にこの古典はそれが顕著です。
そのような当時の線質を再現できる筆に出会うまでに150本近くを試しながらの制作でしたので、なかなか思うように進みませんでした。筆は先がきいているだけでなく、程よく腰があり、毛の密度があるもの、軸が筆先をコントロールしやすい長さのもの、同じ種類でも手作業のため一つ一つの出来が違うので、取り寄せや用品店を回って買い漁り、試しました。
更に、普段は会社勤めをしており、まとまった時間が取れないので、お清書は夏期休暇に集中して書こうと決めました。美濃判料紙68枚、全長26mを越える大作のため、何かあれば書き直す時間もなく、途中で大きな失敗をすれば、出品不可という緊張感の中で清書を書き進めました。
そんな中でも、心穏やかに一点一画、連綿の角度、筆使いに至るまで古典に真摯に向き合いながら集中することを心掛けました。

Q4 ところで、書を始められたのはいつですか?

小学2年の頃、姉と二人で家の近くの伊藤溪彩先生の書塾に通い始めました。そのころは、姉がとても優秀でいつも最優秀作品に選ばれていました。自分も追い付きたいと、勝手にライバルと思って書道に取り組んでいました。
伊藤先生には書道のいろはに加え書道の魅力を教えて頂きました。先生からは、いつもは誉めていただけましたが、中途半端な作品を書くと、厳しく指導されました。一枚一枚真剣に真摯に取り組むことを教えて頂きました。
お教室には綺麗な料紙を使った仮名作品と季節の花が添えられていて、幼心に雅な世界に心を奪われていました。現在、仮名作品を中心に発表していますが、思えばその時に魅了されたのがはじまりだったのかもしれません。
更に書道にのめり込んだきっかけは、現代書道研究所の学生展「銀河書道作品展」で、上級生の寸分の狂いもない作品を目の当たりにしたことです。いつかは自分も書きたいと憧れを抱きました。時間ができれば銀河書道作品展の作品集を引っ張り出しボロボロになるまで研究し、そんな時間がとても楽しかったことを懐かしく思います。
その後、伊藤先生が体調を崩され、お教室を休まれることもあり、私が最後の一人の生徒となりました。伊藤先生は一日でも早く復帰して、お教室が開けるようにと、つらいリハビリも積極的に取り組んでいたと伺いました。教室をたたまれることなく、何年も私一人だけのためにお教室を開いてご指導頂きました。お稽古が終わったあとは先生とのおしゃべりを楽しみました。困っていることを相談しアドバイスを頂いたり、先生がこれまでお華やお茶の先生を経て書道の先生になった経緯や幼少期の戦争体験など貴重なお話を伺ったりしました。これまで書道を続けられたのも、伊藤先生のやり遂げる強い信念と深い愛情のお陰と感謝してもしきれません。
大学生になり、毎日書道展へ出品するにあたり、伊藤先生とご親交のあった和田司周先生に写経と仮名を中心にご指導頂きました。和田先生のご指導のおかげで毎日書道展のU23毎日賞をいただきました。そこから、書道を続けるという確信を持ちました。
また両先生の「浅川君には、書の世界で大きく羽ばたいて欲しい」との願いとお導きがあり、伊藤・和田両先生のご推薦で、佐伯方舟先生にご指導を仰ぐことになり、現在は、佐伯方舟先生のもとで毎日展や日書展に出品し、研鑽を積んでいます。

Q5 書の魅力はどこにあると思いますか?

私にとって、書の魅力は心を整え、豊かにしてくれるところです。日頃デジタルな世界で生活していると、美しいものに出会うこともなければ、美しいと感じることも忘れがちです。美しい料紙を見たり、先生方の素晴らしい作品を拝見したりすると、心が満たされます。
そして、作品を書き始めるにあたり、硯を見つめ、墨を磨り、香りをまとうことで日本古来の感覚が甦るのでしょうか、心身が安らぎ、慌ただしい日々の生活から落ち着きを取り戻すことができます。
また、古典臨書では、書きながら幸せな気持ちになったり、はたまた落ち込んだりと、書技術を学ぶだけでない、千年の時を越えて筆者と心を通わせられるところも私にとっての書の魅力の一つです。
更に創作では、職人が丹精込めて作った美しい料紙に出会えること、その料紙の金の振り方やぼかしを眺めながら構成を考える等日常では味わえない雅な世界を堪能し、自分自身が感じたままに表現できるところに心が満たされる感覚を覚えます。
書道用品店には、墨色が良く出て、滲みが少なく書きやすく、また金が振っていたり、ぼかしや装飾が豊かなものだったりと様々な料紙があります。創作作品を書くときに、歌に合わせて料紙を選んでいる時間も楽しいものです。仮名作品ならではの多彩な料紙を使い、繊細な筆使いで潤滑もあり、表装も含めて雅な美しい世界が表現できることも大きな魅力です。

Q6 最後にこれからの抱負について一言お願いします。

この度は、内閣総理大臣奨励賞という名誉のある賞を賜り、誠にありがとうございます。これも偏に、佐伯司朗先生、方舟先生をはじめ、現代書道研究所の諸先生方のお陰と心よりお礼申し上げます。
私事ですが、先日母の三回忌を迎えました。
母が亡くなる最後の一ヵ月間は、会社の理解と周りのサポートもあり、私は長期休暇を頂き、寝る間を惜しんで在宅介護をし、代えがたい時間を過ごしました。そんな日々からの突然の別れと、大きなものを無くした虚無感で心の整理が付かず、あれ程あった書に対する情熱の炎も消えかけ、しばらくは筆を持つ意欲が湧きませんでした。
生前の母は、忙しい仕事の合間をぬって書道に没頭する私の姿を見て、体を壊さないかいつも心配をしてくれ、展覧会があればどんなに忙しくても必ず見に来てくれる愛情深く芯の強い母でした。良い作品、良い成績を残せることで、喜んでもらえました。書に一生懸命取り組んでいたのは、母に見てもらいたい、褒めてもらいたいという気持ちからだったと、母を亡くして初めて気付きました。それまでの私は、もしかしたら母の喜ぶ顔が見たくて書いていたのかもしれません。
母が亡くなり、私はしばらく誰のために、何のために書いたらいいのか分からなくなりました。そんな姿をご覧になって、現代書道研究所の先生方は親身になって心配をしていただき、時には涙を流してくださる、こんなにも家族のような温かい会で学ばせていただけていることに救われた気持ちでした。先生方ご自身の介護などのお話を伺い、自分だけではなく、みなさんもつらい体験から立ち直っていると気づかされました。現実を受け止めていくうちに、書に向き合うこと、作品を書いて何かを表現することが自分は好きなのだと気付き、自分のために書こうと再び書く意欲が湧いてきました。
このような体験から、私は書を通して様々な方に支えられているのだと痛感しました。
これからは、微力ながらも、恩返しができるよう、次世代の架け橋になりたいと考えています。大学生の時、中島司有先生の個展会場で司有先生から「これはあなたと同じ歳の頃に書いた作品ですよ」とお言葉をかけていただいた時の感動を今でも忘れません。そのお作品の、技術の高さはもちろんのこと、言葉では言い表せない美しさと品格と圧倒的な存在感に衝撃が走り、自分も書道を続けてこんな作品を書いてみたいと強く思いました。これからは、自分の作品を見た子供たちが書道をやってみよう、続けてみようと思ってもらえるようになりたいです。それには、今後も古典を学び続け、平安の息吹を感じつつ現代感覚のある魅力的な作品を発表していきたいと思います。今後ともご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
最後に、母の分まで応援し、支え続けてくれている父と姉家族には心から感謝しています。また、天国の母もこの受賞を喜んでくれていると思います。
見守ってくれてありがとう。

 

浅川 溪鳳 (アサカワ ケイホウ)

現代書道研究所 理事
毎日書道展 かな部会員
日本書道美術院 教育部審査員
かな書道作家協会 正会員 

師 佐伯方舟 和田司周 伊藤溪彩

 

 

 

 

 

 


第41回日本書展
「文部科学大臣奨励賞」


 



第41回日本書展の第二席「文部科学大臣奨励賞」は、田代妙子さんが受賞されました。受賞後の感想などをうかがいました。受賞者の田代さんは、次年度から同人会員に推挙されます。

Q1 受賞の知らせを受けたときの感想は?

9月11日夕刻、自宅で開いている書道教室が終わり夕食の支度をしていると、電報が届きました。
蘭の花を描いた七宝焼の電報は私宛。開くと『文部科学大臣奨励賞』の文字。にわかには信じられず、何度も確認しました。
胸の高鳴りはそのまま、早速、現代書道研究所総本部へ電話をし、佐伯方舟先生にお礼を申し上げました。
先生から「おめでとう」とお祝いの言葉をいただき、動揺していた気持ちが落ち着いてきたのを覚えております。その後、しばらくしてからじわじわと喜びが沸いてきました。
後日、総本部にお礼のご挨拶に伺ったとき、佐伯司朗先生にも「おめでとう、本当によかった、これからも頑張ってね」とお言葉をかけていただいて、更に嬉しさが込み上げてきました。

Q2 作品の題材とそれを選ばれた理由は?

張即之の『金剛般若波羅蜜経』を書きました。
平成3年、恩師・中島司有先生のフランスでの書作展と同時に開催された現代書道研究所フランス展に参加した時、この作品を節臨して出品しました。浅葱色に表装された軸作品は海外へ渡った記念作として大切にしています。
その後、いつかは全臨したいとは思いながら、3人の子育てに追われ、5000字を超える作品には手を伸ばすことができずにおりました。
今年、末の息子が大学生になり「今の私なら書けるのではないか」と思い佐伯方舟先生にご相談したところ、「妙ちゃん、しっかり頑張って、最後まで書きあげなさい」と背中を押していただき、覚悟を決め大作に取り組むことにしました。

Q3 作品を仕上げるうえで特に苦労された点は?

筆・紙・墨は、これまでいくつか書いてきた日本書展出品作品の経験の中から、張即之のリズミカルな筆の動きを表現できそうなものがどれなのか試しながら考えて書き始めました。その中で、今回は熊野産の小筆、紙は半切の雁皮、和墨を端渓硯で丁寧にすりあげたものを使うことに決めて、本番に臨みました。
1行10文字、1ページ6行、全89ページのお手本を前にし、漠然と書いていては締め切りに間に合わないと思い、1週間ごとの計画を立てました。8週間で全臨することを目標にして、1週間で650文字ずつ進めるように計画しました。
4人の家族を抱える主婦の私には、1人になり作品にじっくりと取り組む時間を作ることがひとつの課題でした。
これだけの作品を書きあげるには、家族の理解を得なければ続きません。家族がいると集中できる時間がどうしても短くなりがちです。作品制作中は私が書く時間を確保できるよう家族が気遣ってくれました。オートバイが趣味の夫は、私が作品を書き始めると、よく1人で出掛けてくれました。また、娘が夕食を用意してくれた事もありました。
初めの2週間は思うように筆が進まず予定より遅れがちでしたが、丁寧に書くよう心掛けました。残りの分量の多さに不安を抱えながらも、細切れの時間を無駄にしないよう書き続けました。このお手本の特徴でもある、起伏の激しい字形と線質が、日常の様々な出来事と折り重なり、文字の強弱やリズムが自然と表れてきたように感じています。
気が弛みそうになると、気分転換に家事をするような日々でしたが、このように書に向かい合っていられる時間を持てたことに幸せを感じました。とにかく、書いていることが楽しかったのが正直な気持ちです。
残りが300文字位になった頃、もうすぐ終わってしまうと少し寂しくなりました。書き終わったのは作品提出締め切りの前日で、作品の出来を気にするよりも前に、締め切りに間に合ってよかったと一息つきました。

Q4 ところで、書を始められたのはいつですか?

國學院大學栃木短期大学に進学し、中島司有先生との出会いを始まりに本格的に書道に取り組むようになりました。
それ以前は、小学生のときに近所の習字教室に2年ほど通った後、高校の芸術で書道の授業を選択するといった程度でした。
國學院大學栃木短期大学では、当時四名の先生が書道の授業を担当されていらっしゃいましたが、私は中島司有先生のクラスになりました。
初めての提出課題の評価は、5段階評価の下から2番目でした。2年の授業の卒業課題は行成字鏡の倣書作品で、1番上の秀の評価をいただきました。書に対して真剣に取り組んでいた私を、司有先生は評価してくださったと思っています。
司有先生からは授業だけでなく部活動でもご指導頂きました。新入生への部活動紹介で見た、書道部の先輩方の近代詩文書作品に憧れ、書道部へ入部。古典を中心に学び、2年では近代詩文書のご指導も受けました。書道初心者の私は古典を半紙に4文字ずつひたすら書きました。秋の学園祭には王羲之の集字聖教序を半切3行に節臨しました。ろうけつ染めの作品も作りました。裏打ちも体験しました。色々な勉強を重ね、2年生となり、憧れの近代詩文書作品を書くことができました。今思うと、短大での制作はかなり高度であったと思います。司有先生は書だけでなく、日常生活の言葉遣いや所作にも厳しくご指導くださいました。授業が終わってから、壊れそうな合宿所で朝まで作品を書き続けた事も懐かしい思い出です。
卒業して4年後、現代書道研究所事務局に入り、司有先生のお膝元で主に学生部の指導をさせていただきました。現在の私の書活動の基礎となっている充実した2年間でした。
その後、結婚して家庭に入り、20代、30代、40代で一人ずつ子どもを出産し、長い間子育てに専念していました。その中で、細々と書道を続けていましたが、10年程前に幼稚園生となった末の子のお友達のお母さまから「お習字をさせたい」とのお話がきっかけで、自分で書道教室を始める決心をし、書活動を本格的に再開しました。教室では、現代書道研究所事務局で得た経験を活かし、まずは1週間に1時間から始めました。開塾と共に、大好きな近代詩文書作品の制作に再び取り組めるようになれたことは大きな喜びでした。

Q5 書の魅力はどこにあると思いますか?

多様な書の世界がありますが、私にとっての書の魅力は、中島司有先生の書の世界です。
司有先生の書は、漢字・かな・近代詩から心象(前衛書)・立体書まで、また書体も楷書・行書・草書・篆書・隷書とあらゆる分野の作品が古典古筆を基盤とし、さらには学問としての書を研究された、中島司有の書の世界は、常に私の憧れです。
私は、古典の臨書をするとき、当時の歴史を学び、筆者の生活のあり様を想像し、性格すら夢想しながら描くことで、筆者と同じ時を生きているような気持ちになることがあります。書くことだけでなく、書にまつわる様々なものを学び、それを基盤として、近代詩文書をはじめとする創作性の高い書作品を作り出し、それが多くの人に感動を与えられるのも書の魅力です。それが司有先生の書の世界には溢れていて、何時かは自分もその様な作品を作れたらと思います。
私の書への魅力は、常に中島司有の書の世界の中にあります。

Q6 最後にこれからの抱負について一言お願いします。

令和の始まりの年に、栄えある文部科学大臣奨励賞を賜り誠にありがとうございました。また同人会員にご推挙いただいたことで、今年は一生記憶に残る年になると思います。佐伯司朗先生・方舟先生はじめ、ご推挙くださいました審査員の先生方に、深く感謝申し上げます。
現代書道研究所事務局時代、休日にお稽古場の片隅をお借りして近代詩文書の作品制作をしていた時に、中島司有先生が参考手本を目の前で書いてくださった時の緊張感、先生の息遣いが筆先から表現されていく迫力ある感動をしっかり覚えています。感性を磨き続け、司有先生に認めていただけるような近代詩文書を制作する事が私の夢であり目標です。子育てで書から離れていた期間も、司有先生の教えが私の生活の支えとなっていました。
これからも古典を深く学びつつ、詩の響きを大切にした近代詩文書が書けるよう研鑽を積んでまいります。
家族には、書作品に取り組むと、手抜き家事になってしまう私に文句も言わず、応援し見守ってくれることに感謝の気持ちでいっぱいです。
今回、作品が半分ほど進んだ頃、数年前106歳で亡くなった祖母の夢を見ました。祖母は京都聖護院の門跡になるはずの祖父と結婚しました。祖父は早くに亡くなり私は会った事はありませんが、祖父の遺影は袈裟姿でした。父母も鬼籍に入り、このお経が供養になる、との思いが強くなりました。写経をしている間、何故かいつも決まって亡くなった祖父母、父母の事が脳裏に浮かびました。他の事をしている時は全く思い出さないのに、不思議でした。私は仏教徒ではありませんが、これが“供養”という事かもしれないと思いました。祖先に書かせていただいている気持ちで、日々感謝し筆を進め、このような大きな評価をいただいたことに深く感謝申し上げます。
そして微力ではございますが、私の書を育てていただいた現代書道研究所の皆様のお役に立てるよう精進してまいります。
佐伯司朗先生・方舟先生、いつも励ましてくださる先生方、書友の皆様に厚くお礼を申し上げると共に、今後ともご指導賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 

田代 妙子 (タシロ タエコ)

現代書道研究所 理事
毎日書道展 近代詩文書部会友
日本書道美術院 二科審査員
日本詩文書作家協会 準会員
書道研究銀河会小平市回田町本部長

師 中島司有 佐伯司朗 佐伯方舟